手塚治虫と石ノ森章太郎。「マンガの神様」と「マンガの王様」は、10歳違いです。
デビュー後すぐに大ヒット作家となり、多忙を極めていた手塚。石ノ森の実力を投稿マンガで知っていた手塚が「鉄腕アトム」の手伝いを電報で依頼したことから、ふたりの関係はスタートします。
その後、石ノ森もデビュー。手を動かすのがズバ抜けて早いふたりは、次々にバラエティに富む作品を発表し、今でも愛され続けている名作を数多く生み出しました。手塚は1989年に、石ノ森は1998年に死去。くしくもふたりとも60歳の生涯でした。
展覧会では両者の生原稿など、多くの資料を展示。二人の代表的なアニメーション、TVシリーズの映像なども紹介されています。
会場
本展の見もののひとつが、伝説のマンガ家アパート・トキワ荘の再現。東京都豊島区にあったこの古ぼけた木造アパートに、手塚や石ノ森をはじめ多くのマンガ家が入居していました。
外観のほか、内部には手塚と石ノ森の部屋も再現され、ラーメンのどんぶりまで置かれています。決して豊かな暮らしとはいえませんが、そこには希望と夢が満ち溢れていました。
再現されたトキワ荘
展覧会後半には「“ちから”の本質対決」と題したコーナーもあります。
未来をイメージさせるようなカプセル状の展示ケース。「いのち」「ふるさと」「あきらめない」などのテーマで、両者の直筆原稿を対比させて展示しています。
例えば「ヒト」なら、「人造人間キカイダー」(石ノ森)と「きりひと讃歌」(手塚)
もうひとつの見どころは、各界で活躍する著名人たちによる二人へのオマージュ作品。
Tシャツは加藤ミリヤさん、コスチュームはコシノジュンコさん。マンガ家やイラストレーターは想いを込めたイラスト。そして、ももいろクローバーZは、サイボーグ009のコスプレパネルで登場しています(ここは撮影も可能です)。
このほか、手塚治虫のデビュー前の未発表マンガ原稿や石ノ森章太郎の仮面ライダータイトル案など、マンガ史的に貴重な資料も展示。グッズ売り場もかなり充実していますので、お楽しみに。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年6月28日 ]