ギャンブル漫画の金字塔、「カイジ」シリーズ。多額の借金を抱えてしまった主人公・伊藤開司(カイジ)が生死を賭けたギャンブルに挑んでいくストーリーで、シリーズ累計発行部数は3,000万部を突破するなど、多くのファンを魅了しています。
貴重な原稿をはじめ、主要人物の等身大キャラクターフィギュアや、名シーンを再現したフォトスポットなど、遊び心たっぷりな展覧会が、東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)で開催中です。
ギャラリーアーモ「逆境回顧録 大カイジ展」会場入口
1996年に『週刊ヤングマガジン』(講談社)で連載が始まった「カイジ」シリーズ。作者の福本伸行さんは麻雀漫画では知られた存在でしたが、カイジの大ヒットで一躍時の人となり、この作品で講談社漫画賞も受賞しました。
知人の保証人になっていた事から、大手金融業者「帝愛グループ」と戦うことになったカイジ。物語序盤の強敵が、帝愛グループ最高幹部の一人、利根川幸雄。「金は命より重い」「勝たなきゃゴミだ」など、数々の名言も光ります。
利根川幸雄
「カイジ」で描かれる最初のギャンブルは、なんとジャンケン。ただ、カードを用いた「限定ジャンケン」であるため、さまざまな駆け引きが必要となります。
ギャンブルの舞台は、逃げ場の無い豪華貨客船「エスポワール」。策略にはまったカイジは、身ぐるみをはがされて別室送りになってしまいます。カイジと同じ絶望を感じながら、記念撮影をどうぞ。
限定ジャンケンに敗れた人が送られる「エスポワール」の別室
次なるギャンブルは「ブレイブ・メン・ロード 勇者たちの道」。全長25メートルの鉄骨を渡り切れば賞金にありつけますが、落ちたら即死です。
気の弱い「石田のオッサン」は、賞金の権利をカイジに託したまま、カイジを動揺させないために無言で落下してしまいました。
石田のオッサンは「ただ、黙って…黙って落ちたっ!」(カイジ)
利根川と「Eカード」で対決する事になったカイジ。ゲームのイカサマを見抜き、さらに利根川の優秀さにつけ込んだトリックを仕掛けた事で、ついに利根川を撃破します。
カイジに敗れた利根川は、帝愛グループ総帥である兵藤和尊の逆鱗に触れ、焼けた鉄板の上で行われる「焼き土下座」をするはめに。ここで土下座をすると、不気味な煙が上がってくる仕掛けです。
「焼き土下座」
結局、地下労働施設に送られたカイジ。クズばかり集められた地下にいた「仲間の生き血をすする蛭(ひる)みたいな人間」が、班長の大槻です。
ここで行われたのが、丼に3つのサイコロを振る「チンチロリン」。本展では会場入口でチンチロリンをすることが可能で、出目に応じて地下労働施設内の通貨「ペリカ」をプレゼント。最高のピンゾロ(3つとも1が出ること)だと、なんと5000ペリカです!
地下労働施設のE班班長 大槻太郎
地下チンチロで大槻を倒したカイジは、20日間の外出権利を得て地上へ。地下の仲間たちを解放する資金を得るために、1玉4,000円という難攻不落の人喰いパチンコ台「沼」で一攫千金を目指します。
展覧会では、クラウドファンディングで制作された「沼」が登場。もちろん、目の前に座って撮影することも可能です。台の中央には「沼」の象徴といえる「三段クルーン」、足元にはこれまでの戦いで蓄積された玉が広がります。
「沼」は電飾・音響による演出もあります
「沼」を有する裏カジノの若き店長が、一条聖也。カイジとはまさにライバルといえる関係で、会場では等身大フィギュアが睨み合います。
カイジに敗れて地下に送られる一条に対し、カイジは「這い上がって来い」と声をかけていました。
一条とカイジ
見事「沼」を攻略した後も、帝愛とカイジの戦いは続いています。麻雀をモチーフにした「17歩」、兵藤和也が考案した非人道的な「友情確認ゲーム」、カード1枚で勝負する「ワン・ポーカー」、そして、24億円という大金をめぐる現在進行形のギャンブル…。
果たしてカイジが帝愛を倒す日がくるのでしょうか。
(手前)「17歩」 / (右奥)「愛よりも剣」
アニメや実写映画にもなったほか、利根川や大槻を主人公にしたスピンオフ作品も作成されるなど、大きく広がった「カイジ」の世界。原作漫画以外から「カイジ」にはまった人も多いのではないでしょうか。
まさに「カイジ」好きならたまらない展覧会。作中に登場するお約束の擬音「ざわ‥ざわ‥」などをモチーフにした楽しいグッズもたくさん用意されています。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2024年3月15日 ]