3月16日に北陸新幹線が延伸し、熱い視線を集めている福井。福井県は日本最多の恐竜化石発掘量を誇る「恐竜王国ふくい」としても知られています。
その恐竜王国から、大迫力の恐竜軍団が東京に来襲! 親子で楽しめる展覧会が、お台場のフジテレビではじまりました。
フジテレビ「オダイバ恐竜博覧会2024」会場入口
会場は3つに分かれており、第1会場は「これが恐竜だっ!」。恐竜とトカゲやワニは同じ爬虫類ですが、その違いをご存知でしょうか?
ポイントは腰骨と後ろ脚のつながりかた。恐竜は体の下に後ろ脚がまっすぐ下に伸びて直立歩行が可能です。
コモドオオトカゲはインドネシアに生息する現生最大の陸生トカゲですが、大腿骨が腰骨に対して横向きに関節しているため、這うようにしか歩くことができません。
コモドオオトカゲ
コエロフィシスは北アメリカで知られる最古の恐竜の一つです。頭骨が細長く、仙椎が5個あることなど、典型的な獣脚類の特徴が見られます。
コエロフィシスはアメリカ合衆国ニューメキシコ州リオ・アリバ郡のゴーストランチで大量に全身骨格が発見されており、研究の成果から群れで生活していたと考えられています。
コエロフィシスの化石密集層
そして奥まで進むと、迫力の展示が。ティラノサウルスがトリケラトプスを捕食しているシーンを再現した生体復元ロボットで、著名な恐竜学者であるジャック・ホーナー博士が監修しました。
上腕が胴体と一体化しているため前肢が小さく見えるのも、ホーナー博士の説を元にしています。
ティラノサウルス
第2会場は「恐竜研究最前線!」。19世紀に恐竜の化石が見つかってから今日までの、恐竜研究の歴史に迫ります。
1820年代にイギリス南部で現生の動物とは異なる骨や歯の化石を発見。古生物学者でもあるリチャード・オーウェンは、それらの動物がこれまで知られているどの動物ともまったく異なったものであることから、1842年に新しい生物のグループ「DINOSAURIA」を作りました。
これは、ギリシャ語の「deinos sauros」に由来し、「恐ろしいほどに大きい」という意味の「deinos」と、「トカゲ」を意味する「sauros」を合わせて作られた言葉です。
イグアノドン(旧式生体復元模型)
福井の恐竜についても解説されています。福井・石川・富山・岐阜の4県に分布する中生代の地層「手取層群」から、恐竜の化石が数多く見つかっています。
なかでも福井県勝山市北谷町は、手取層群の北谷層(前期白亜紀、約1億2000万年前)が露出しており、県が中心になって発掘調査を推進。フクイサウルス、フクイラプトルなどさまざまな恐竜化石の発見に繋がりました。
フクイサウルス・テトリエンシス
ティラノミムス・フクイエンシスは、2023年に新種として報告された小型の獣脚類。福井県外では初の展示になり、もちろん東京での初展示になります。
フクイベナートル・パラドクサスのロボット
第3会場は、ずばり「王者の部屋」。約2億3000万年前の後期三畳紀から6600万年前の白亜紀末まで繁栄してきた恐竜。長い歴史で進化していった恐竜の姿などに焦点を当てました。
デンバーサウルスの一種
展覧会最大の目玉といえるのが、全長約15メートルとライフサイズのスピノサウルスのロボット。動くのは頭部だけですが、それでも迫力たっぷり。展示されているフジテレビ球体展望室との相性もバッチリです。
スピノサウルスは生活の大半を水中で過ごしていたという説と、それに否定的な意見があり、このロボットは半水生だったとする説をもとに再現されています。
スピノサウルス
テレビ局内で行われる展覧会という事もあり、訪れる前は「そこそこの規模かな…」と思っていましたが、期待を大きく上回るレベル。3つの会場あわせるとエリアはかなり広く、説明も本格的かつわかりやすい、親切な構成です。
古代サメの歯やトリケラトプスの化石を見つけることができる発掘体験や、自分だけの恐竜フィギュアがつくれるワークショップなど、体験コーナーも充実しています。ここで恐竜の魅力を堪能したら、今度は北陸新幹線で福井県立恐竜博物館へお出かけください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2024年3月19日 ]