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    レポート
    国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア
    Bunkamura ザ・ミュージアム | 東京都
    甘美なロシア美術に魅せられます
    約20万点のロシア美術を所蔵する国立トレチャコフ美術館から、19世紀後半から20世紀初頭の作品72点が、Bunkamura ザ・ミュージアムにやってきました。イワン・クラムスコイ(1837-1887)の名作《忘れえぬ女(ひと)》など、ロマンティックなロシア美術の世界に魅せられます。
    (右)イワン・クラムスコイ《忘れえぬ女(ひと)》 1883年 油彩・キャンヴァス ©The State Tretyakov Gallery
    イリヤ・オストロウーホフ《芽吹き》 1887年油彩・キャンヴァス ©The State Tretyakov Gallery
    (左から)《森の散歩》 1869年 / 《雨の樫林》 1891年 いずれも、イワン・シーシキン 油彩・キャンヴァス ©The State Tretyakov Gallery
    (左から)《嵐の海》1868年 / 《海岸、別れ》1868年 いずれも、イワン・アイヴァゾフスキー 油彩・キャンヴァス ©The State Tretyakov Gallery
    ワシーリー・コマロフ《ワーリャ・ホダセーヴィチの肖像》 1900年 油彩・キャンヴァス ©The State Tretyakov Gallery
    (左から)ヴィクトル・ワスネツォフ《雪娘》 1899年 油彩・キャンヴァス ©The State Tretyakov Gallery/ ニコライ・サモーキシュ《トロイカ》 1917年頃 油彩・キャンヴァス ©The State Tretyakov Gallery
    イワン・クラムスコイ《月明かりの夜》 1880年 油彩・キャンヴァス ©The State Tretyakov Gallery
    (左)アレクサンドル・モラヴォフ《おもちゃ》 1914年 油彩・キャンヴァス ©The State Tretyakov Gallery
    ワシーリー・マクシーモフ《嫁入り道具の仕立て》 1886年 油彩・キャンヴァス ©The State Tretyakov Gallery
    2018年は、“日本におけるロシア年”“ロシアにおける日本年”。両国の文化を紹介し合うイベントが、多数開催されています。本展もこの交流行事の一環、かつ、Bunkamura 30周年記念の企画展でもあります。

    19世紀後半から20世紀初頭のロシアは、近代化が遅れたことにより、社会情勢は不安定でした。農奴解放令後も身分の違いが残り続け、権威に対する反発が日増しに強くなる一方、美術や文学などの諸分野においては、傑出した才能が多く輩出されました。

    本展で紹介されている「移動派」も、その中に含まれます。移動派は、アカデミズムという制約を嫌うクラムスコイらにより、1870年、サンクトペテルブルクで設立。民衆を啓蒙しようとする運動も盛んになり、権威への抵抗、働きかけという点で、移動派はこの時代の特徴をよく表していました。

    「ロマンティックな風景」は、ロシアの自然を理解してもらうために、作品を四季ごとに展示。春から冬へ変わっていく自然を展覧することができます。

    中でもイワン・シーシキンの《雨の樫林》は必見。降り続いた雨による湿潤な空気感が、見事に再現されています。絵の前に立つと、雨の降る森林特有の香りがしてきそうなほど、リアリティーある作品です。森をテーマにした作品を得意としたシーシキンは、「森の王」とも呼ばれています。



    クラムスコイの名作《忘れえぬ女(ひと)》は、日本でも人気がある花形の作品。実は日本に8回来日しています。今回も、日本へようこそいらっしゃいました。

    本展覧会担当のガリーナ・チュラクさん(国立トレチャコフ美術館シニア・キュレーター)が「ロシアの人々は、この《忘れえぬ女(ひと)》が海外に行ってしまうと知った日には、早く帰ってきてほしいと願うのですよ」と語るほど、本国でも人気の高い作品。「ロシアのモナ・リザ」とも称されています。

    同じ室内に展示されている《月明かりの夜》も、クラムスコイが描いた女性像です。月の淡い光が映し出す女性は、物思いにふけっているのか、視線の先の誰かを誘っているのか。感じ方は千差万別。クラムスコイの描いた女性たちの視線の先に誰がいるか、想像してみては?

    本展終了後、岡山、山形、愛知に巡回します。会場と会期はこちらの巡回展情報をご覧ください。

    [ 取材・撮影・文:静居絵里菜 / 2018年11月22日 ]

    Discover Japan_CULTURE TOKYO美術館2018-2019Discover Japan_CULTURE TOKYO美術館2018-2019

    ディスカバージャパン編集部(編集)

    エイ出版社
    ¥ 1,296

    料金一般当日:1,500円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2018年11月23日(金・祝)~2019年1月27日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(毎週金・土曜日は21:00迄) ※入館は各閉館の30分前まで
    休館日
    11月27日(火)、12月18日(火)、1月1日(火・祝)
    住所
    東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_russia/
    料金
    一般 1,500(1,300)円/大学・高校生 1,000(800)円/中学・小学生 700(500)円

    ※( )内は前売券および20名以上の団体料金
    展覧会詳細 「国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア」 詳細情報
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