明治23年(1890)、神戸市に誕生した日本初の私立美術館とされる「川崎美術館」。
現在の川崎重工業株式会社や神戸新聞社などを創業した実業家、川崎正蔵により創設されました。
金融恐慌や水害、戦災により美術館そのものは失われましたが、国内外に散らばっていた名品が約100年の時を経て、神戸で再会します。
会場入口
川崎正蔵が所蔵していた日本・東洋の古美術品は千数百点に上ります。
本展では、国宝2件、重要文化財5件、重要美術品4件を含む絵画、仏像、工芸品約80件と貴重な資料を合わせた約110件が公開されます。(一部展示替えがあります)
会場風景
見どころの一つは、円山応挙の全盛期に描かれた障壁画。
立体的に展示された襖絵は、川崎美術館にあった当時の空間を体感することができます。
円山応挙「海辺老松図襖」天明7年(1787) 東京国立博物館蔵
展示風景
川崎正蔵は美術品の収集だけでなく、美術家のパトロンとして、中国・明代の七宝焼を再現するために「宝玉七宝」の製作も支援しました。
展示風景
梶佐太郎「牡丹唐草文鐶付七宝花瓶」明治時代後期~大正時代・19世紀~20世紀初期 名古屋市博物館蔵
展示空間いっぱいに広がる屏風。 特に、海外から里帰りを果たし、日本の展覧会では初公開となる金地屏風3双、伝狩野孝信の「桐鳳凰図屏風」、狩野探幽の「桐鳳凰図」、狩野孝信の「牧馬図屏風」は必見です。
展示風景
狩野孝信「牧馬図屏風」桃山時代~江戸時代・16世紀後期~17世紀初期 個人蔵
川崎正蔵は、明治維新を契機に古美術が海外に流出することを憂いていました。
彼が守り伝えた作品の数々は、現在も各地で受け継がれています。
約100年ぶりに集う「川崎コレクション」に会いに、ぜひお越しください。
会場風景
[ 取材・撮影・文:藤目乃理子 / 2022年10月15日 ]
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