鮮烈な色彩と独自のスタイルで写真家だけでなく、映画やファッションなど様々な分野で活動を続ける蜷川実花。彼女の最新の写真と映像を紹介する展覧会が、アール・デコ様式で装飾された東京都庭園美術館ではじまりました。
蜷川実花「瞬く光の庭」展 大食堂
2018年の熊本市現代美術館を皮切りに、2021年まで国内10か所の美術館を巡回し、各地で好評を博した「蜷川実花展—虚構と現実の間に—」。蜷川のこれまでのキャリアを総覧できる展覧会として記憶に新しいかもしれません。
蜷川実花「瞬く光の庭」展 大広間
今回の展覧会では、蜷川が2021年に国内各地の植物苑や庭園で撮影された4万枚を超える膨大な写真の中から作品を厳選しています。
蜷川実花「瞬く光の庭」展 会場
蜷川作品といえば、鮮明な色彩感覚で知られていますが、最新作では光に満ち溢れた柔らかな色調“光彩色”で彩られた作品を展示。夢のような幻想的な雰囲気に希望や儚さを感じられます。
蜷川実花「瞬く光の庭」展 若宮寝室
旧朝香邸のアール・デコ様式の装飾とのコラボレーションも見どころの一つ。館内を巡ると、部屋ごとに四季折々の植物に出会います。
蜷川実花「瞬く光の庭」展 合の間
2階のベランダには、窓一面に作品を展示。普段とは異なる庭園美術館を楽しむこともできます。
妃殿下居間の窓には、1月の雪の日の翌日に撮影された写真も飾られています。
蜷川実花「瞬く光の庭」展 ベランダ
新館 ギャラリー1では四季をめぐる花や木々との出会いを感じさせる、ダイナミックな映像インスタレーション作品を展示。
冬が終わり先始める梅や、モチーフとして登場することの多い桜、ネモフィラなど、春からはじまり、春に戻る四季の流れを体感することができます。
蜷川実花「瞬く光の庭」展 新館 映像インスタレーション
撮影では、対象物に対して深く思考するのではなく、感覚を研ぎ澄ませて撮影を行っていたという蜷川。“光彩色”の世界など新しい機軸をみせた蜷川の「今」と「これから」の活動にも注目です。
蜷川実花「瞬く光の庭」展 新館 映像インスタレーション
六本木にある小山登美夫ギャラリーでは「蜷川実花『花、瞬く光』」が同時開催されます(7月16日~8月13日)。LEDディスプレイやプロジェクターで映し出される映像作品をはじめ、自然との調和した作品もお楽しみいただけます。
[ 取材・撮影・文:坂入 美彩子 2022年6月24日 ]