意外にも、
国立科学博物館で「昆虫」をテーマにした展覧会が開かれるのは、本展が初めて。昆虫好きで知られる俳優・香川照之さんのインパクト溢れるポスターも話題になっています。
会場は5章構成で、第1章では昆虫の巨大模型がお出迎え。ミツバチ、クワガタ、セミなどが約2mに拡大されました。見慣れた昆虫ですが、拡大すると口の形や羽の付き方など、各々がとても特徴的。360度まわってご覧ください。
第2章は「昆虫の多様性」。昆虫の種類は約100万種と、地球上に生息する生物種の半数以上が昆虫です。姿かたちは多様化し、用途不明のツノを持つツノゼミ、異様に首が長いオトシブミなど、珍しい昆虫も紹介されています。
この章の注目が「Gの部屋」。Gではじまる昆虫といえば、もちろんアレ。嫌われものの「G」ですが、大部分は森林に住んでいて、朽ち木や落ち葉を食べるなど、生態系において重要な役割を担っています。展示されているものも、一般的なイメージとはかなり異なります。
第1章~第2章第3章は「昆虫の生態」。南極を含めて(!)全ての大陸で生存している昆虫。特定の種は特定の環境でしか見られない事が多く、その生態もさまざまです。ここでは「食べる」「住む」などのキーワード別で、その違いを掘り下げていきます。
第4章は「昆虫の能力」。地球40億年の歴史の中で、大気中を飛べるようになった初めての生物が、昆虫。また昆虫の中には、人間には見えない光(偏光)を感知できる種もいます。とても「虫けら」などとは呼べません。
第5章は「昆虫研究室」。「虫捕り」は多くの人が親しんできた遊びですが、これこそ昆虫研究の第一歩。研究者も目的に応じて、最も適した手法で昆虫を採集し、適切な形で標本にします。会場の壁面を埋め尽くす、貴重な昆虫標本コレクションは圧巻です。
展示は第2会場にも続き、モニター画面上で、ぐるぐる回して見られる3Dの昆虫画像などが紹介。会場最後には‘昆活マイスター’香川照之の展示コーナーもあります。
第3章~第5章開幕以降、多くの来場者で賑わっている特別展「昆虫」。昆虫をテーマにした展覧会としては、過去最大規模の動員数となっています。
他館への巡回はなく、科博だけでの開催となりますので、お見逃しなく。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年7月12日 ]