幻想絵画で知られるフランスの画家オディロン・ルドン。本展は
浜松市美術館、
美術館「えき」KYOTOと巡回し、
三菱一号館美術館にやってきました。
展覧会は「ルドンの黒」「色彩のルドン」「ルドンの周辺」の3部構成。最初の石版画集「夢の中で」、エドガー・アラン・ポーに捧げた「エドガー・ポーに」、グロテスクだがどこか愛らしい「蜘蛛」などの初期の黒い作品。鮮やかな色彩を用いるようになってからの油彩やパステル画。マックス・クリンガー、ムンク、ゴーギャン、モーリス・ドニなどルドン周辺の画家まで、幅広く紹介しています。
第1部「ルドンの黒」本展の目玉は《グラン・ブーケ(大きな花束)》。広報用のフライヤーでも大きく扱われ、ネットでも話題になっていました。ロベール・ド・ドムシー男爵の城館の食堂を飾った16点の壁画のうちの1点で、縦2.5m、横1.6mという大作。2010年8月に
三菱一号館美術館が新規収蔵したものです。
この作品はルドンが描いた最大級のパステル画でありながら、110年間フランスの城館に秘蔵されていたというもの。ルドンの作品集にも掲載されていなかったというまさに幻の作品で、もちろん日本初公開です。
作品保護のために照度が抑えられた部屋での展示、画面の大きさから来る迫力とパステルの繊細さが同居した、圧倒的な存在感です。ドムシー城食堂の他の15点は、全て油彩や混合技法。色彩豊かなパステル画はこれ1点で、食堂でも鮮やかさは際立っていたことでしょう。ちなみに他の15点は、すべてオルセー美術館に所蔵されています。
《グラン・ブーケ(大きな花束)》は今後も展示期間に制限が加えられ、次回は2012年9月からの展示となる予定です。秋までまてない方は、3月4日までにお越しください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2012年1月16日 ]