100mを9秒69で駆け抜ける人類最速の男、ウサイン・ボルト。上半身の力だけで時速40キロを出すパラ陸上のタチアナ・マクファーデン、バタフライ100メートルの世界記録を10年ぶりに塗り替えたケレブ・ドレセル。
驚異の能力を備えた「超人」たちの身体的特徴を体感する展覧会が、日本科学未来館で開催中です。
日本科学未来館「超人たちの人体」会場
東京2020参画プログラムの公認プログラムとして開催される本展、3人の「超人」たちのコーナーが、それぞれ用意されています。
まずは、ウサイン・ボルト(ジャマイカ・陸上)。背骨が曲がる側わん症という持病を抱えている事は、あまり知られていないかもしれません。目を引くのは等身大のボルト立像にプロジェクションマッピングで映し出された、MRI画像。人類史上最速の男の知られざる姿に迫ります。
左の立体像にウサイン・ボルトのMRI画像が映し出されます
展覧会は体験コーナーが設けられているのもポイント。ボルトのコーナーでは、自分の脚の筋力を測定し、ボルトのパワーと比較できます。ボルトは身長195センチ、世界記録を出した100メートル走での歩幅は、なんと2メートル86センチ。思いっきり飛んでも、会場に示されている足形には、とても近づけません。
コーナー1「ウサイン・ボルト ~史上最速を実現した奇跡の身体~」
続いて、パラ陸上のタチアナ・マクファーデン。リオパラリンピックの車いす陸上では、100メートルからマラソンまで全距離種目でメダルを獲得するという大記録を打ち立てています。
生まれつき、腰から下がまひしているマクファーデン。その脳内では、一般の人が脚の運動に使う脳の領域を手の運動で使う「超適応」が起こっています。
ここの体感コーナーは、競技用車いすでの100メートルの疑似走行が体験できます。最高速度は時速約40キロ、普通に怖いです。
コーナー2「タチアナ・マクファーデン ~未知の能力を覚醒させる“超適応”~」
最後はケレブ・ドレセル。芸術作品のような泳ぎは、筋肉だけでなく、特徴的な呼吸機能もあり、なんとラスト15メートルは一度も息継ぎをしません。
圧倒的なスピードを支える飛びこみは、陸上跳躍競技のトップ選手に匹敵する跳躍力をもっているためです。会場の垂直跳びで、ドレセルに挑戦してみましょう。
コーナー3「ケレブ・ドレセル ~究極の美が生むスピード~」
7階では超人たちの映像も紹介。競技中のわずか数秒で彼らがどのように超人になるのか。その瞬間のダイナミズムを楽しめます。
さらに連動企画として、3歳~12歳の子どもを対象にした市民参加型の公開研究プロジェクト「発見!きみたちのからだ」も開催される予定です(7/22~8/8)。詳しくは公式サイトでご確認ください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2021年7月16日 ]