太古の昔、地球上に君臨し繁栄を極めた恐竜。1億6000万年もの時間をかけて大きく進化した恐竜は、まだ解明されていない謎も多く、多くの人々を魅了し続けています。
世界でもトップレベルの展示と研究成果を誇る福井県立恐竜博物館が所蔵する全身復元骨格などを通して、恐竜の生態や繁栄の謎に迫る展覧会が、Gallery AaMoで開催中です。
Gallery AaMo「恐竜展2021」会場入口
展覧会の冒頭は、三畳紀後期のエオラプトルから。初期の恐竜で、小型できゃしゃな動物でした。
三畳紀末頃から、大型の恐竜が登場。次のジュラ紀には、恐竜が陸上を支配します。
《エオラプトル》三畳紀後期 アルゼンチン
続いて、おなじみステゴサザウルス。背中に板状の骨、尻尾にはスパイク状の骨(トゲ)を持ちます。
敵に襲われた時には尻尾のスパイクで防御。背中の骨板は、体温調節の役割を担っていたと考えられています。
《ステゴサウルス》ジュラ紀後期 アメリカ合衆国
こちらはブラキオサウルスの頭骨と大腿骨。大型化した竜脚類で、前肢が後肢より長くなりました。
重い体重を支えるため、大腿骨は柱のように真っ直ぐ伸びています。
《ブラキオサウルス》(左)頭骨 (右)大腿骨 ジュラ紀後期 アメリカ合衆国
そして、有名なティラノサウルスとトリケラトプス。同じ地域の同じ時代の地層から見つかっているので、白亜紀末期の北米では、両者の激突があったと考えられています。
トリケラトプスの化石には、噛み跡が残されているものもあります。
(左から)《ティラノサウルス 頭骨》白亜紀後期 アメリカ合衆国 / 《トリケラトプス 頭骨》白亜紀後期 アメリカ合衆国
展覧会の目玉が、ティラノサウルスロボット。全長約12メートル、肌の質感や動きなど、実際の恐竜の動きを研究して再現されました。
近くでみると、想像以上の迫力。怖がり屋の方は、心してご覧ください。
《ティラノサウルス ロボット》
会場後半は、福井で見つかった恐竜について。恐竜の時代にはまだ日本列島はなく、現在の日本を形成している大地は、アジア大陸東縁でした。
フクイラプトルは、福井県の白亜紀の地層から発見された肉食恐竜。大きな手のカギ爪や長い後あしから、アロサウルス上科の中でも特に進化したグループに属すると考えられています。
《フクイラプトル》白亜紀前期 福井県
こちらはフクイサウルス。2003年に学名がつけられるまでは、フクイリュウの愛称で呼ばれていました。研究の結果、国内2例目の新種恐竜として記載されました。
《フクイサウルス》白亜紀前期 福井県
その他、クリエイティブカンパニー「NAKED, INC.」が作った、ティラノサウルスとトリケラトプスの対決映像も。壮絶な戦いが、目の前で繰り広げられます。
夏休みの定番といえる恐竜の展覧会。ファミリーにピッタリの企画です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2021年7月9日 ]
骨格標本 「福井県立恐竜博物館所蔵」、ティラノサウルスロボット ©ココロ、大型映像 ©NAKED, INC.