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    レポート
    至上の印象派展 ビュールレ・コレクション
    国立新美術館 | 東京都
    一代で築いた、珠玉のコレクション
    ドイツで生まれ、スイスで後半生をすごしたエミール・ゲオルク・ビュールレ(1890-1956)。実業家として成功して財を成したビュールレは、青年時代から心を寄せていたヨーロッパ美術を熱心に収集し、質の高いコレクションは世界中の美術ファンから注目されています。印象派・ポスト印象派の傑作を中心に64点を紹介する展覧会が、国立新美術館で開催中です。
    (左から)ピエール=オーギュスト・ルノワール《泉》1906年 / エドガー・ドガ《14歳の小さな踊り子》1880-81年(ワックスによる原型)/1932-35年(ブロンズによる鋳造) / ピエール=オーギュスト・ルノワール《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》1880年
    (左から)ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル《アングル夫人の肖像》1814年頃 / ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル《イポリット=フランソワ・ドゥヴィレの肖像》1811年
    (左から)フランス・ハルス《男の肖像》1660-66年 / ピエール=オーギュスト・ルノワール《アルフレッド・シスレーの肖像》1864年
    (左から)アントーニオ・カナール(カナレット)《カナル・グランデ、ヴェネツィア》1738-42年 / アントーニオ・カナール(カナレット)《サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、ヴェネツィア》1738-42年
    (左から)エドゥアール・マネ《オリエンタル風の衣装をまとった若い女》1871年頃 / ウジェーヌ・ドラクロワ《モロッコのスルタン》1862年
    (左から)カミーユ・ピサロ《オニーからポントワーズへ向かう道 ─ 霜》1870年頃 / カミーユ・ピサロ《会話、ルーヴシエンヌ》1870年
    (左から)ポール・セザンヌ《扇子を持つセザンヌ夫人の肖像》1878-88年 / ポール・セザンヌ《赤いチョッキの少年》1888-90年
    (左から)ポール・ゴーギャン《肘掛け椅子の上のひまわり》1901年 / ポール・ゴーギャン《贈りもの》1902年
    クロード・モネ《睡蓮の池、緑の反映》1920/1926年頃
    1937年から本格的に絵画収集をはじめたビュールレ。コレクションは邸宅の隣の別棟に飾られ、ビュールレが没した後は一般にも公開さていましたが、2008年に4点の絵画が盗まれる事件が発生。以降は一般公開が規制され、2020年には全コレクションがチューリヒ美術館に移管されることが決まっています。

    会場は10章構成。17世紀のフランス・ハルスから20世紀のパブロ・ピカソまで紹介されていますが、主軸は印象派とポスト印象派の作品です。

    展覧会リーフレットで「絵画史上、最強の美少女(センター)。」と紹介されているが、ルノワールの《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》。モデルは裕福な銀行家の長女で、当時8歳。頬の微妙な表現は見事です。ビュールレは1949年にこの作品を、イレーヌ本人から購入しています。


    第1章~第5章

    第6章でフォーカスされているのがポール・セザンヌ。ビュールレは1950年代にコレクションの大部分を築きましたが、この時期に脚光を浴びていたのがポスト印象派。ビュールレも強い関心を寄せ、特にセザンヌとファン・ゴッホについては、初期から成熟期までの作品を網羅的に収集しています。

    《赤いチョッキの少年》は、セザンヌの代表作のひとつ。少年の右手は長すぎますが、絵画のバランスは完成されています。ちなみにこの作品は、前述の事件で盗まれた作品のひとつ。盗まれてから4年後に、無事発見されました。

    会場最後のクロード・モネ《睡蓮の池、緑の反映》は、200x425cmの大作。このコーナーは一般の方も写真撮影が可能です(フラッシュ・一脚・三脚・自撮り棒は不可、動画撮影も不可)。


    第6章~第10章

    日本では松方幸次郎や大原孫三郎が1910年代からフランス近代絵画を収集している事を見ても、ビュールレが絵画収集を始めたのは決して早くはないのですが、わずか20年で一大コレクションに。的確な判断と類まれなる情熱があったからこそといえるでしょう。

    出展作品の約半数は日本初公開という貴重な展覧会です。ヨーロッパ美術好きにはたまらない、ビッグネームばかりの豪華なラインナップをお楽しみください。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年2月13日 ]

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    ■至上の印象派展 ビュールレ・コレクション に関するツイート


     
    会場
    会期
    2018年2月14日(水)~5月7日(月)
    会期終了
    開館時間
    <企画展>
    10:00~18:00
    ※当面の間、夜間開館は行いません。
    ※入場は閉館の30分前まで
    <公募展>
    10:00~18:00
    ※美術団体によって、異なる場合があります。
    ※入場は閉館の30分前まで
    休館日
    火曜日
    住所
    東京都港区六本木7-22-2
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.buehrle2018.jp/
    料金
    【当日】
    一般 1,600円(1,400円)
    大学生 1,200円(1,000円)
    高校生 800円(600円)

    ()は、前売と20名以上の団体
    中学生以下および障がい者手帳をご持参の方(付き添いの方1名含む)は入場無料
    展覧会詳細 「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」 詳細情報
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