ユートピアを探しに　－想像力の彼方へ

　「ユートピア」というと、皆様はまず何を思われるでしょう。 　恐らく、理想郷や楽園とほぼ同じ意味の言葉として、明るさに満ちた憧れの世界を思い描くのではないでしょうか。本来は16世紀前半のイギリスで当時の国情を憂いたトマス・モアの警世の著作に由来するものです。理想的な国家として語られるこの架空の国の名が「ユートピア」で、ギリシア語の「どこにもない場所」を意味する語から来ています。 　この展覧会は、ユートピアを巡って描かれた様々なイメージを、絵画と版画を中心とした絵画表現の中に、近世から現代まで、また西洋美術から日本のものまで幅広く見てみようとするものです。もちろん一口にユートピアといってもその解釈は様々です。この展覧会では4つのテーマを設けて、会場を構成しています。この展覧会を見る体験は、言ってみれば、4つの国をめぐり、「どこにもない場所」を探しに出かける旅のようなものです。 　このたびにぜひお出かけください。 第1部「天上の世界へ」－世俗を超えて－ 第2部「自然の中へ」－東西の理想郷－ 第3部「創られた場所へ」－建築の夢と幻－ 第4部「あなたの周りで」－しあわせのひととき－