秋の宵空に見えるペルセウス座の中に、「悪魔」 の意味を持つアルゴルという変光星があります。アルゴルは、普段の明るさが2等星ですが、時々4等星まで暗くなります。
この星の変光にはじめて気づいたのは、1667年、イタリアのモンタナリですが、詳しい記録を残したのは、1782年、イギリスのジョン・グドリックという18歳の少年です。
グドリックは、生まれてまもなく耳が聞こえなくなったことが原因で、話すこともできなくなりました。しかし、星を見ることが好きで毎晩、夜空を見ていました。
彼は、11月12日の夜、アルゴルが普段よりも暗くなっていることに気づき大変驚きました。この星を詳しく観察して2日20時間49分の周期で明るさが変わっていることを発見しました。また、その原因が明るさが違う2つの星がまわりあっていて、暗い星が明るい星の前を横切るとき、アルゴルの明るさが暗くなると考えました。この考えは、1889年、フォーゲルによって証明されました。またグドリックは、アルゴルのほかにも多くの変光星を発見しました。
このように、変光星の研究に貢献したグドリックですが、惜しいことに21歳の時、風邪が原因で亡くなりました。
イギリスでは、グドリックの功績をたたえて、耳の聞こえない方々への支援を行うグドリック協会や、ヨーク大学グドリック校などの名前が残っています。