現代アートが世界各地の複数の観点から考えられるようになった1990年代以降、現代アートはもはや学校の授業で考える図画工作や美術といった枠組みを遙かに越え、むしろ国語・算数・理科・社会など、あらゆる科目に通底する総合的な領域と捉えるべきものとなっています。それぞれの学問領域の最先端では、研究者が世界の「わからない」を探求し、歴史を掘り起こし、過去から未来に向けて新しい発見や発明を積み重ね、私たちの世界の認識をより豊かなものにしています。現代アーティストが私たちの固定観念をクリエイティブに越えていこうとする姿勢もまた、こうした「わからない」の探求に繋がっています。そして、現代美術館はまさにそうした未知の世界に出会い、学ぶ「世界の教室」とも言えるでしょう。
森美術館開館20周年を記念する「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」は、学校で習う教科を現代アートの入口とし、見たことのない、知らなかった世界に多様な観点から出会う試みです。展覧会のセクションは「国語」、「社会」、「哲学」、「算数」、「理科」、「音楽」、「体育」などに分かれていますが、実際それぞれの作品は複数の科目や領域に通じています。また、企画展としては初めて、出展作品の半数以上を森美術館のコレクションが占める一方、本展のための新作も披露され、50組を超えるアーティストによる学びの場、「世界の教室」が創出されます。
【出展アーティスト】
アイ・ウェイウェイ(艾未未)、青山 悟、ヨーゼフ・ボイス、サム・フォールズ、藤井 光、シルパ・グプタ、畠山直哉、スーザン・ヒラー、ジャカルタ・ウェイステッド・アーティスト、風間サチコ、菊地智子、ヤコブ・キルケゴール、ジョセフ・コスース、ディン・Q・レ、李禹煥(リ・ウファン)、パーク・マッカーサー、ミヤギフトシ、宮島達男、宮永愛子、森村泰昌、奈良美智、パンクロック・スゥラップ、ソピアップ・ピッチ、アラヤー・ラートチャムルンスック、ヴァンディー・ラッタナ、ハラーイル・サルキシアン、笹本 晃、瀬戸桃子、杉本博司、田島美加、ロデル・タパヤ、ツァイ・チャウエイ(蔡佳葳)、梅津庸一、ワン・チンソン(王慶松)、ヤン・ヘギュ、イー・イラン、米田知子、ほか