名和は、セル(細胞・粒)で世界を認識するという独自の概念を軸に、ガラスや液体などのさまざまな素材や技法を横断しながら、彫刻の新たなあり方を一貫して追求しています。素材の探求を通じて彫刻の概念を拡張してきた名和の活動の変遷を、大学院生時代のドローイングシリーズ「Esquisse」と代表作の「PixCell」、そして新作「White Code」を含む多様な作品シリーズから紹介していきます。
【 展覧会に関して:名和晃平 】
太古から変わらない現象に、新たなイメージを重ね合わせることで、現象への解釈は無限にひろげることができます。例えば、「断続的な雨」という現象に「コード」という現代のイメージを重ねることで、その現象の意味を拡張するなどです。本展が取り扱うのは、そうした日々の理解からこぼれ落ちたマージナルな情報領域であり、それを受け止める感覚と想像の拡張です。
展覧会タイトル「生成する表皮(英語:Generative Interface)」は、名和晃平の作品に通底する制作概念を表しています。レンズ効果により視点の移動とともに表皮が映像的に姿を変える「PixCell」シリーズ、シリコーンオイルからグリッド状に泡が沸き立つ《Biomatrix (W)》。刻々と変化する界面は視触覚を静かに刺激して、見るものの感性を鋭敏に研ぎ澄まします。それは、情報化時代における知覚や認識のリアリティを背景に、物質と感性を介するインターフェースとしての「表皮」に焦点を当てています。