《バラモン凧 龍》 狭川一三作 昭和時代
長崎県五島列島に伝わるバラモン凧。長崎の方言で荒々しいさまを指す「ばらか」に由来し、3月・5月の節句の時期に子どもの健やかな成長や出世を祈り空に揚げられます。バラモン凧の画題としては、鬼と渡辺綱の組み合わせが一般的ですが、ここでは天空の支配者である龍の顔を正面から描いています。本資料は、日本の凧の会 大阪の会長・木村薫氏が収集した日本を含めたアジアの凧コレクションのひとつです。
担当者からのコメント
左右対称な顔はどこかこの世のものでない印象を与え、異形の存在であることを示しています。また、正面から注がれる鋭い視線は、魔を追い払う力を有しています。龍は恐ろしい顔で睨んでいますが、実は目線の先にいる子どもの安寧を願っているのかもしれません。新年1月5日より展示予定です。