《祝 飛龍遊々スカイビル》(彫刻) 絹谷幸二 2018年
淀川より飛翔した龍神が梅田スカイビル25周年を祝福し、祝いの玉取り龍となって舞う。
龍は水に対する畏敬の念から生まれた水の神であり夢や空想上の生き物。一方、今ここに在るスカイビルは世界的に名高い現実の建築物である。この龍とビルがおりなす迫力の躍動感は、「空想」と「現実」は相反する別々の概念ではなく、一つの物の部分であると説く、絹谷の作品テーマである維摩経(ゆいまぎょう)の教え「不二法門(ふにほうもん)」に通じている。
立体彫刻作品の存在感と重量感は、今にも龍神が動き出す迫力をもっている。そしてスカイビルの側面は全てを映し出す美しい鏡のようで、突き抜ける青空やたなびく雲を反射し、重厚な建物がまるで周りの空に溶け込み透き通って見える。天空で龍神がスカイビルと楽しげに遊々とする姿は、この天空美術館が私たちと夢の世界をつなぐ架け橋となっているかのようである。