《能面「白露」の面衣》
-兎の毛皮に守られて。
4代盛岡藩主 南部重信が自ら作ったものとして代々大切にされてきた能面「白露」。9代盛岡藩主 南部利雄の代に制作された「御能面目録」(1753年)には、この能面「白露」の面衣(能面を保護する緩衝材)に関する記述もあり、そこには「花色地・柘榴モヤウ金入・内兎ノ毛」と、内側に兎毛が使われていたことが記されています。幸い能面「白露」は、面衣や面袋とともに現存しており、これが「兎ノ毛」の面衣であると考えられます。
担当者からのコメント
もりおか歴史文化館に収蔵されている能面の中で、面衣まで残っているのは能面「白露」のみです。作られた当初から面衣があったかは分かりませんが、宝暦3年(1753)に制作された「御能面目録」に記されている形状と現存しているものは一致しています。少なくともこの時代から「兎」の毛を用いた面衣によって能面「白露」は守られていたものと考えられ、非常に大切にされていた様子がうかがえます。