《黒漆塗波兎図蒔絵盃》(くろうるしぬりなみにうさぎずまきえはい) 木製蒔絵 江戸時代 彦根城博物館(井伊家伝来資料)
月夜に波の上を奔(はし)るウサギを表した盃。この図様は、能の演目〈竹生島(ちくぶしま)〉の一節、「緑樹陰沈んで、魚(うお)木(き)に上(のぼ)る景色あり、月(つき)海上(かいしょう)に浮かんでは、兎も波を奔るか、面白の島の景色や」に由来します。〈竹生島〉は数ある能の演目の中でも特にポピュラーなものの1つ。同様の図様は工芸品などにしばしば見られ、この一節が人口に膾炙(かいしゃ)し、そのイメージが広く親しまれていたことを示す例と言えるでしょう。
担当者からのコメント
この作品は、令和5年1月1日(日・祝)から2月7日(火)まで彦根城博物館 常設展にて公開します。