博多祇園山笠図「猿嶌」
福岡市博物館博多の夏の訪れを告げる祭礼・博多祇園山笠を描いた図です。山笠は毎年当番町が中国や日本の故事などを元にして趣向を凝らした飾り付けをしますが、元治元(1864)年の東町上のテーマはなんと「猿ヶ島」。「鬼ヶ島」はよく耳にしますが、さて「猿ヶ島」とは?。図をよく見てみると山笠の下の方にはカニと桃太郎がいて、上方の猿たちを眺めています。どうやら「さるかに合戦」と「桃太郎」がコラボレーションしたユニークな山笠のようです。これには博多っ子もおおいに驚かされたのではないでしょうか?
担当者からのコメント:「さるかに合戦」は日本を代表する昔話ですが、その内容は地域や時代によって大きく異なるそうです。本図の最上部にも登場キャラクターの飾りが見られますが、おなじみの栗や臼の他にあまり見慣れないハサミが確認できます。本図は地域の祭礼の歴史を物語る画像であると共に、日本を代表する昔話の変遷を考える上でも貴重な情報を提供してくれる資料と言えます。