重要文化財《洋人奏楽図屏風》(左隻)桃山時代 作者不明
MOA美術館桃山時代、キリスト教の伝来とともに、当時宣教師たちによって運営されたコレジオやセミナリオなどの学校では、信徒子弟への体系的な教育が行われ、セミナリオでは絵画教育も行われていました。ヨーロッパの絵画の主題や技術が、主にに聖画や銅版画を中心に教授されたらしく、この屏風も、キリスト教の布教効果ををあげるべく、洋画教育を施された日本人によって描かれたものでしょう。港の見える丘陵で羊のいる樹木、愛の神殿、城郭などは、いずれも西洋中世銅版画に描かれた題材です。
担当者からのコメント:桃山時代、今から約500年ほど前に描かれた作品です。六曲一双の画面に日本の顔料を胡桃油か荏油(じんゆ)に溶いて油絵の効果を出し、以前の日本画には見られない陰影のある立体表現など、外来技法取得の跡が見られます。日本絵画史上特異な画風として注目されるのではないでしょうか?
当時の画家は何を思い感じながらこの作品を描いたのでしょう・・・可愛らしい羊の群れなど、見れば見るほど目が離せなくなります。