《羊の形》(原型)ヘンリー・ムーア
彫刻の森美術館作者のヘンリー・ムーアは、イギリス彫刻界の巨匠です。
1940年、ロンドンの自宅兼アトリエが空襲で被災したため、ムーアは妻のリナとともに、ロンドンの北(車で1時間半位)のハートフォードシャー州、マッチハダム、ペリー・グリーンに転居しました。1977年にはヘンリー・ムーア財団が設立されました。
ムーアは1986年8月31日、88歳で亡くなるまでペリー・グリーンの地に住み、制作を続けました。彫刻のアイディアを練る時、最初は素描を描いていましたが、ペリー・グリーンに居を移してから、手のひらにのる程の小さなマケット(雛型)を粘土や石膏で作り、その中から気に入った形のものを中間のサイズのワーキングモデル(原型)に拡大しました。さらにいくつかの作品が選ばれて、2m~5mの野外作品になっています。
《羊の形(原型)》はワーキングモデル(原型)で、大きく拡大された野外作品がペリー・グリーンに展示されています。ムーアは彫刻を野外に展示することを好みました。なだらかな牧草地と作品の下を悠然とくぐってゆく羊たち、ぬけるような青空は、ペリー・グリーン特有の光景です。
担当者からのコメント:当館が所蔵するヘンリー・ムーア・コレクション26点のうちのひとつとなります。
「……ひとたび野外に出て陽を浴び、雨に打たれ、雲の移りゆきを感ずるときには、彫刻も生活の一部であるということがよくわかる……」このムーアの言葉は、そのまま当館の指針にもなってきました。