第10回 西田桐子(兵庫県立美術館 学芸員)
ひろしま美術館の水木さんから紹介いただいた兵庫県立美術館の西田です。当館は、1970(昭和45)年10月に開館した県立近代美術館が前身で、2002年4月に今の場所「HAT神戸」に移転し名称も現在のものになりました。その移転の際に機能・活動を拡充して、ガタイも「でっかく」なったのですね!
さて、水木さんは、金山平三記念室を「押し」てくださいましたが、同記念室と小磯良平記念室は近代美術館時代からのものです。両記念室のほかに6室の常設展示室があります。特別展を開催する企画記念室もあるので、両方見るとかなり疲れますよ。加えて、貸しスペースのギャラリーでも展覧会をやっていますし、3年前には当館を設計した安藤忠雄氏の記念ギャラリー(Ando Gallery)もできました。ですので、半日といわず1日を美術館で過す感じでご来館いただければ。美術関連の書籍が閲覧できる美術情報センターで画集を広げながらゆっくり、あるいは、外に出て神戸の海(対岸に建物があるので「運河」みたいですが)と空を眺めながら「ぼーっ」とする、というのもいいのではと思うのです。
ANDO GALLERY(中央)
私のおすすめミュージアム
田辺市立美術館
大阪在住なので「のんびりするなら和歌山へ」というのが定番なのです。で、車で某温泉へ行く途中で同館を訪れるというのが、ここ数年続いています。車ではなく、特急「くろしお」で行くのもいいですね。特急は(紀伊)田辺駅にとまりますが、この駅付近がまた心安らぐのです。観光案内所に寄って「次はここに行こう」と次なる休みの計画をたてたりして。多忙が続くと、この計画も夢に終わりますが、それもこれも含めて同館を訪れる前後の「気分」が好きなのです。
美術館は駅から少し離れた丘の中腹にある公園の中にあります。お向かいには大きな病院があり、その向こうに海が見えます。平日(筆者の休日はだいたいが平日です)の公園には幼稚園児、そして病院を訪れる市民。日常に引き戻されそうになりますが、ここは和歌山、田辺です!
館内では、日本近代美術と南画の良品が、ほどよい大きさの展示室で見られます。企画展もされていて「これを見る!」と力まないで見て、しかし勉強にもなった、というのが毎度のことです。ひとつひとつの展覧会を丁寧に開催さていて「うらやましい」と思うこともしばしばです。自分は「通、だしな」と思いながらニヤニヤ見たりしていることもあります(なにせ、休日ですから)。
令和3年度は開館25周年の年で、コレクションを活用して充実した展示をされていました。2月から4月まで、記念展があとひとつ開催されますので、この期間にまた行きたいですね。
田辺市立美術館 外観
田辺市立美術館 展示室