今回の出展作家は13人。年齢は30~40歳代で、絵画、写真、映像、アニメーション、インスタレーション、陶芸、メディア・アートなど、表現も多彩です。ここでは3人の作品をご紹介しましょう。
まずは会場で最も目を引く強い人物像から。松井えり菜さん(1984-)の作品で、実は自画像。「自分の顔が最もリアリティを感じるモチーフ」という事から、一貫して自画像に取り組んでいます。2012-13年にドイツで研修を受けました。
松井えり菜さんの作品展示室に入ると、どうなっているのか良くわからず、一瞬戸惑ってしまうのが池内晶子さん(1967-)の作品。絹糸を使った作品で、壁面の四方から引っ張って保持しています。
空中に浮いている、赤い糸の面。とても儚く繊細ですが、逆に強い存在感も感じさせます。素材は絹糸のため、風はもちろん、来館者の数で室内の温湿度が変わると、微妙に張り具合が変化するそうです。
池内さんは1998-2000年、米国で研修を受けました。
池内晶子さんの作品女性が続いたので、最後は男性を。金子富之さん(1978-)は2015-16年にカンボジアで研修を受けており、その作品からもアジアの匂いが強く感じられます。
カンボジアで現地の宗教に根差した造形美術に触れた金子さん。印象的な顔つきの神々を、緻密な描写で表現しています。壁一面に貼られたドローイングノートからは、いかにも描く事が楽しくてたまらない様子も伺えます。
金子富之さんの作品美術の海外研修といえばヨーロッパや北米と思われがちですが、カンボジアに渡った金子さんのように、近年では東南アジア圏や南半球オーストラリアへも広がっているとの事。日本とは異なる文化に触れる事で、作家それぞれの個性に、より一層の磨きがかかればと思います。
若手の育成を視野に入れた本展。会期最後の二日間には、中・高生の美術部の人を対象にした「美術部応援プログラム」も開催されます。詳しくは
公式サイトでご確認ください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年12月9日 ]※2016年12月20日(火)~2017年1月10日(火)は年末年始休館です
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