IM
    レポート
    日伊国交樹立150周年記念 世界遺産 ポンペイの壁画展
    森アーツセンターギャラリー | 東京都
    火山灰に埋まった、奇跡の壁画
    南イタリア、ナポリ近郊にあったポンペイ。紀元後79年に起こったヴェスヴィオ山の噴火によって町は埋没し、火山灰と火砕流の下で永い眠りにつきました。2000年近く前に描かれた貴重な壁画を紹介する展覧会が、森アーツセンターギャラリーで開催中です。
    (左から)《テセウスのミノタウロス退治》 / 《赤ん坊のテレフォスを発見するヘラクレス》 / 《ケイロンによるアキレウスの教育》 いずれもナポリ国立考古学博物館蔵
    《赤い建築を描いた壁面装飾》ボスコレアーレ、ポンペイ監督局蔵
    (左から)《黄色いアエディクラのある建築》 / 《仮面とタンバリンのある壁面》 / 《閉じた木戸のある建築》 いずれもボスコレアーレ、ポンペイ監督局蔵
    (左から)《コブラとアオサギ》 / 《犬のシュンクレトゥス》 ともにナポリ国立考古学博物館蔵
    《カルミアーノ農園別荘、トリクリニウム》(南壁と西壁)カステッランマーレ・ディ・スタビア、ポンペイ監督局蔵
    (右)《アレクサンドロス大王とスタテイラ》ポンペイ、ポンペイ監督局蔵
    (左から)《ダナエとペルセウスのセリフォス島漂着》 / 《セレネとエンデュミオン》 ともにナポリ国立考古学博物館蔵
    《ディオニュソスとアリアドネ》ポンペイ、ポンペイ監督局蔵
    (左から)《踊るマイナス》 / 《イシス女神官のヘルマ柱》 ともにナポリ国立考古学博物館蔵
    1748年から発掘が続くポンペイ。250年に及ぶ調査で約8割が発掘され、多くの資料が出土しています。

    今回の展覧会は壁画が主役。ポンペイとその周辺で見つかった壁画を、絵画的な要素に焦点をあてて紹介していきます。

    会場に入ると、壁画の大きさと鮮やかさにビックリ。一昼夜降り続いた火山灰と、その後に押し寄せた火砕流は多くの人の命を奪いましたが、皮肉にも壁画は長期に渡って美しい姿が保たれる事となりました。


    第1章「建築と風景」

    会場は描かれたテーマごとの4章構成。第2章「日常の生活」では、見つかった建物の1室がそのまま移転してきました。

    建物は葡萄酒を製造していた農園別荘で、大きな居室はトリクリニウム(食堂)です。

    ローマ貴族の所領における農業生産の拠点だったこの建物に相応しく、それぞれの壁面には葡萄酒の神・ディオニュソスに関連する主題が描かれています。


    第2章「日常の生活」

    ポンペイの壁画には、神話画もしばしば登場します。

    ポンペイはイタリアの都市ですが、描かれる神話はほとんどがギリシャ神話。当時のローマ人は、教養としてギリシャ文化を学んでいました。

    展覧会のメインビジュアルは、ポンペイ北西のエルコラーノで1739年に見つかったアウグステウム(通称「バシリカ」、皇帝崇拝の場)の壁画。発掘者は巧みな描写に驚愕し「神のごときラファエッロ」の作品になぞらえて讃えました。


    第3章「神話」

    最後の第4章は「神々と信仰」。古代ローマで祀られた神々を描いた壁画です。

    ポンペイの守護神はウェヌス(ヴィーナス)ですが、前述のディオニュソスとともに祀られる事もあるなど、地域性によって表現に差異が見られます。ギリシャ神話との集合も進んでいます。


    第4章「神々と信仰」

    ポンペイが埋まったのは紀元後79年ですから、キトラ古墳や高松塚古墳(ともに7-8世紀)よりずっと前。これほど鮮明な壁画が残っているのは不思議に思えるほどです。

    気鋭の美術史家3名によるギャラリートークの開催も決定、ペアでお得なナイト券も5月30日(月)までの期間限定で発売中です。どちらも公式サイトをご確認ください。

    2006年(Bunkamuraザ・ミュージアムなど)、2001年(江戸東京博物館など)、1997年(横浜美術館など)と、過去に何度か開かれているポンペイ展ですが、まさに決定版といえる豪華展です。東京展の後は名古屋、兵庫、山口、福岡(予定)に巡回、日程はこちらです

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年4月28日 ]

    古代ポンペイの日常生活古代ポンペイの日常生活

    本村 凌二 (著)

    講談社
     

    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon


    ■ポンペイの壁画展 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年4月29日(金)~7月3日(日)
    会期終了
    開館時間
    ※展覧会によって異なります。
    休館日
    会期中無休
    住所
    東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー52階
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.tokyo-np.co.jp/pompei/
    料金
    一般 1,600(1,400)円/高校・大学生 1,300(1,100)円/小・中学生 600(400)円
    ※()内は20名以上の団体料金及び前売り料金
    展覧会詳細 日伊国交樹立150周年記念 世界遺産 ポンペイの壁画展 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    【八尾市立歴史民俗資料館】学芸員募集(歴史担当)/※要学芸員資格 [契約社員/正社員登用制度あり]◆年休120日以上・未経験も歓迎! [八尾市立歴史民俗資料館]
    大阪府
    荻窪三庭園 施設管理運営スタッフ募集! [荻窪三庭園]
    東京都
    【セゾン現代美術館】契約職員募集(事務統括責任者) [セゾン現代美術館 東京事務所]
    東京都
    株式会社ブレーントラストでは、ただいま美術展組織および一般事務にかかわる正社員を募集しています。 [東京都港区白金4-7-19]
    東京都
    世田谷美術館 令和7年4月1日採用 契約職員募集【美術館学芸】 [世田谷美術館]
    東京都
    展覧会ランキング
    1
    国立西洋美術館 | 東京都
    モネ 睡蓮のとき
    開催中[あと75日]
    2024年10月5日(土)〜2025年2月11日(火)
    2
    麻布台ヒルズ ギャラリー | 東京都
    ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―
    開催中[あと66日]
    2024年11月1日(金)〜2025年2月2日(日)
    3
    東京都美術館 | 東京都
    田中一村展 奄美の光 魂の絵画
    もうすぐ終了[あと3日]
    2024年9月19日(木)〜12月1日(日)
    4
    日本科学未来館 | 東京都
    特別展「パリ・ノートルダム大聖堂展 タブレットを手に巡る時空の旅」
    開催中[あと68日]
    2024年11月6日(水)〜2025年2月4日(火)
    5
    国立科学博物館 | 東京都
    特別展「鳥 ~ゲノム解析で解き明かす新しい鳥類の系統~」
    開催中[あと88日]
    2024年11月2日(土)〜2025年2月24日(月)