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    レポート
    2015年NHK大河ドラマ特別展「花燃ゆ」
    【2025年度中まで全館休館予定】東京都江戸東京博物館 | 東京都
    十八畳の小屋から巣立った、幕末の英傑たち
    2015年の大河ドラマは、井上真央さん演じる杉文(すぎふみ)が主人公。吉田松陰の妹で久坂玄瑞と結婚し、後に群馬県令の楫取素彦と再婚しました。展覧会は大河ドラマと連動した恒例の企画、今回は杉文や吉田松陰ゆかりの品々を中心に、幕末維新期の長州藩にスポットをあてました。
    会場には松下村塾を模したコーナーも
    (左から)《萌葱地小葵文様大和錦直垂》 / 《紺糸威具足[ 胴:銘 明珍信家 兜:銘 明珍貞家 ]》 ともに毛利博物館
    (左から)《吉田松陰自賛肖像(久坂本)》松陰神社(東京都) / 《吉田松陰自賛肖像(杉家本)[ 複製 ]》松陰神社(山口県) / 《吉田松陰自賛肖像(吉田家本)》山口県文書館
    《馬関戦争図》下関市立長府博物館
    《萩野流壱貫目青銅砲》アンヴァリッド軍事博物館(フランス、下関市寄託)
    《七卿西下図》下関市立長府博物館
    重要文化財《幕府追討密勅》毛利博物館
    《高杉晋作道中三味線》下関市立東行記念館
    大河ドラマで主人公の杉文を演じる井上真央さん
    毎年、ゆかりの地を中心に全国各地で行われている大河ドラマ連動展。最近は東京会場からのスタートが恒例でしたが、今年は2会場目(山口展からスタート)という事もあって、この時期からの開催となりました。

    杉文はドラマの放映まで殆ど知られていない存在でしたが、その周辺には幕末維新期の巨星がずらり。本展にも歴史ファンにはこたえられない貴重な史料が出展されています。


    序章は杉文が育った萩の紹介から

    会場中ほどには、なんと松下村塾も出現(塾をモチーフにしたコーナーです)。吉田松陰は幽閉されていた生家の杉家で孟子の勉強会を始め、噂を聞いた近隣の武士が集まったのが塾のきっかけとなりました。建物は、杉家の小屋を改修。後に建て増しされたものの、わずか十八畳余りという小さな塾舎から、日本を変えた多くの英傑が巣立って行きました。

    1859(安政6)年に江戸に護送され、29歳で斬首された松陰。旅立ちの前に自賛肖像を八幅作成し、杉家や吉田家、そして久坂玄瑞らに形見として与えました。今に伝わる自賛肖像は六幅、会場にはその全てが展示されています(一部複製・パネルも含む)。


    「松下村塾」の表札は、明治後期に野村靖(内務大臣などを歴任した松下村塾塾生)が揮毫したものです

    久坂玄瑞は杉文の夫で、松陰の義弟。松陰は久坂を「防長年少第一流人物」と高く評価していました。英国公使館を焼き討ちにし、下関では外国船を砲撃。その報復で長州藩は大きな打撃を受けますが、攘夷の意志は変わりませんでした。ちょうどドラマではこのあたりまで放映中です。

    明治時代まで活躍したのが、維新の三傑として名高い木戸孝允。松下村塾の塾生ではありませんが、松陰に兵学の教えを受けていた事があります。会場には肖像や書簡のほか、愛用の硯箱なども展示されています。


    久坂玄瑞と木戸孝允の史料

    松陰以外で一番多くの史料が紹介されているのが、高杉晋作です。高杉は親の目を盗み、夜遊びのふりをして松下村塾に出入りしていましたが、塾では「識の高杉、才の久坂」と並び称された逸材でした。

    封建的な枠組みを超えた画期的な武力集団・奇兵隊を作った高杉晋作。酒を愛し、詩を愛し、女を愛した高杉は人間味あふれる人物として描かれる事が多く、現代でも多くのファンに愛されています。


    奇兵隊関連の史料のほか、高杉所要と伝わる三味線や瓢(ひさご)などもあります

    会場で一番目をひくのは、巨大な大砲です。馬関戦争で長州が敗れた際、英・仏・米・蘭の四国連合艦隊に接収されたもの。当時においても旧式で小口径でしたが、大砲不足を補うために設置されていました。雲龍文が刻まれた砲身からは、なんとなく呑気な印象をうけます。


    《馬関戦争図》と《萩野流壱貫目青銅砲》

    プレス内覧会には主役を演じる井上真央さんも姿を見せ、笑顔でフォトセッションに応じていました。ドラマはこれから杉文の夫である久坂の死、明治維新、そして楫取素彦との再婚と進みますが、個人的には杉家にとってかなり大きな出来事である「萩の乱」の描かれ方が楽しみです。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年6月3日 ]

    花燃ゆ 後編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)花燃ゆ 後編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)

    NHK出版 (編集)

    NHK出版
    ¥ 1,134

    料金一般当日:1,350円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2015年6月4日(木)~7月20日(月・祝)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30
    ※入館は閉館の30分前まで。
    休館日
    7月20日を除く毎週月曜日
    住所
    東京都墨田区横網1-4-1
    電話 03-3626-9974(代表)
    公式サイト http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/s-exhibition/special/
    料金
    一般 1,350(1,080)円/大学生・専門学校生 1,080(860)円/高校生・65歳以上 680(540)円
    ※()内は20名以上の団体料金
    ※次の場合は観覧料が無料。中学生以下。身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方(2名まで)。
    ※小学生と都内に在住・在学の中学生は、常設展観覧料が無料のため、共通券はありません。

    ※高・大学・専門学校生の方は学生証を、65歳以上の方は年齢を証明するもの(健康保険証、運転免許証など)のご提示をお願いいたします。
    ※毎月第3水曜日(シルバーデー)は、65歳以上の方は観覧料が無料です。年齢を証明できるものをお持ちください
    展覧会詳細 「2015年NHK大河ドラマ特別展「花燃ゆ」」 詳細情報
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