展覧会は、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏と、文化人類学者の竹村真一氏によるディレクション。植物としてのコメ、民俗学の中でのコメ、そして食文化としてのコメなど、様々な角度からコメについて考えていきます。
会場の中央で頭上を見ると、敷きつめられている白い物体がまさにコメ。「コメの雲」から光が降り注ぎます。
中央には「コメの雲」が稲わらを積み上げた展示台には、コメに関係する展示が並びます。
「コメの計」には、いろいろなコメの容れ物(いれもの)が。茶碗や飯盒など文字通り米が入るものから、籾(もみ)=コメ一粒の容れ物、イカ=イカ飯の容れ物など、ユニークな発想もあります。
試験管のような容器に稲穂が並ぶ展示は「たねとり田んぼ」。イネから取れるコメの色も、見慣れた白いコメから、ほぼ真っ黒に近いコメまで幅があることが分かります。
コメをテーマにした展示の数々展覧会では、体験できる展示が多いのも特徴的です。
「コメみくじ」は、「米」偏(へん)の漢字を使ったおみくじ。「只今の運勢」「願い事」「金運」「待ち人」の4項目で、好きな漢字を選んで、会場入り口でもらった紙に押すと、漢字の意味と格言が示されます。
「コメみくじ」こちらも楽しい「はじめちょろちょろ」。美味しいごはんを炊く火加減のツボである「はじめちょろちょろ、中ぱっぱ…」を、シミュレーションゲーム感覚で体験できます。
刻々と変わる理想の火加減にあわせて、備え付けの団扇で風を送ってください。美味しく炊けたかどうかは、100点満点で表示されます。
「はじめちょろちょろ」展覧会のコンセプトとしては、社会におけるコメの位置づけや意味合いを改めて問い直すものですが、難しい理屈を横に置いても十分に楽しめるように工夫された内容と、21_21では毎度のことながら唸るほどクオリティの高い会場構成はさすがです。
小さな子どもにも楽しんで欲しいという意図もあり、会期はゴールデンウイーク後の6月15日(日)までです。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年2月25日 ]