まるでジャニーズ!イケメンすぎる前衛画家・東郷青児展があべのハルカス美術館で始まった!
作曲家の山田耕筰や画家の有島生馬、藤田嗣治などに可愛がられたという東郷青児。
展示会場に展示された彼の写真を見てみると、まるでジャニーズ?ではないかというくらいの超美男子。
若い頃から女性に大変モテたんだとか。彼はそのせいか、多くの女性像を描いています。
本展は初期の作品から代表作に至るまでを幅広く紹介する構成になっています。
日本で最初期の前衛画家として、二科展で華々しいデビューを飾った19歳の東郷青児は、24歳の時にフランスに留学します。
フランスではピカソやデュシャンと言った名だたる芸術家たちと交流し、美術の最先端に触れます。そして美術館では古典絵画の技術を貪欲に吸収し、幾何学的な構成と叙情性を統合した独自の画風を作り上げました。
帰国してからは、フランスで培ったモダンな造形感覚を武器に、大衆文化の中に活動の場を見出していきました。
(右から)東郷青児《超現実派の散歩》1929(昭和4)年、東郷青児《窓》1929(昭和4)年、東郷青児《静物(ゆりの花)》1930(昭和5)年
帰国後の翌年、1929年に開催された二科展に出品された、《超現実派の散歩》と《窓》は、阿部金剛や古賀春江、中川紀元の出品作とともに「新傾向」であると評価されました。
《超現実派の散歩》という作品に描かれているのは「時間、空間、nostalgie」といったモチーフを取り出したものなんだとか。これは、 “超現実派”と呼ばれる美術潮流から、東郷自身が感じ取ったモチーフです。
東郷自身はそれを自身が“散歩する”つもりで描いてみたけれども、超現実派には属さない、という立場を明らかにしています。
(左から)東郷青児《手術室》1930(昭和5)年、東郷青児《椅子》1933(昭和8)年
この二つの作品に共通して描かれている、黒い手袋、片足だけ履いた黒い靴下、そして手術台は東郷が好んで描いたモチーフで、様々な作品に登場します。
これまでの作品に比べ、装飾性が削ぎ落とされていったように見えますが、その分、女性へのフェティッシュな視線が際立っています。
(右から)東郷青児《婦人像(屋上塔)》制作年不明、「京都近鉄百貨店(プラッツ近鉄)ショッピングバッグ」2007年復刻
東郷は1933年に帰国した、藤田嗣治との交流を通じて、文化人を主な対象とした展覧会や出版物から、一般の富裕層を客層とする百貨店とのつながりができたことによって、活動の幅が一気に広がりました。
こちらの作品は、かつて京都の街のシンボル的存在であった、丸物百貨店本店を背景に、モダンなファッションに身を包んだ女性がそれを見上げるように描かれています。作品は当時のショッピングバッグに採用されました。
左に展示されているのは、後に京都近鉄百貨店となってから、復刻したショッピングバッグです。もう一回復活しないかなー・・・と願うばかりです。
展示会場には、丸物百貨店から依頼を受けて制作された、藤田嗣治と競作の装飾壁画も展示されているので、そちらもお見逃しなく。
エリアレポーターのご紹介
 |
胤森由梨
美術が大好きなアートライターです。美術鑑賞に関わる仕事を広げていきたいと思っています。現在、instagram「tanemo0417」「artgram1001」でもアート情報を発信中です! ブログ「たねもーのアート録」http://tanemo-art.com/
|
エリアレポーター募集中!
あなたの目線でミュージアムや展覧会をレポートしてみませんか?