国宝25点、重要文化財31点などやく70点が出展される豪華なラインナップで、開幕前から話題を呼んでいた興福寺仏頭展。巡回はせず、
東京藝術大学大学美術館だけでの開催となります。
会場入口から展覧会の見どころのひとつは、2組の国宝十二神将。国宝に指定されている十二神将は全国で4件ありますが、そのうちの2件が興福寺にあり、2組同時に寺外で展示されるのは初めてです。
国宝《板彫十二神将像》は、地下2階で展示されています。平安時代に作られたもので、各々の厚さは3センチほどですが、構図を工夫して見事に立体感を表現しています。
国宝《板彫十二神将像》平安時代、興福寺蔵もうひと組の国宝《木造十二神将立像》は3階で紹介。メインの国宝《銅造仏頭》を守るような会場構成は、なかなか壮観です。《木造十二神将立像》と《銅造仏頭》は、もともとはともに東金堂にありましたが、15世紀初頭の火災で本尊がかわったため、実に約600年ぶりの再会となりました。
そして、最大の注目である国宝《銅造仏頭》。破損仏ながら国宝に指定されているという異例の存在です。頭部だけでも高さは98.3センチあり、かなりの存在感。しかも本展では後ろ側に回ってみることも可能です。
文献なども見つかっていないため、火災で破損する前がどういう姿だったのか現時点では不明。近くまで寄って見て、想像力を働かせてみてください。
国宝《銅造仏頭》は、後ろに回っての鑑賞も可能会場の最後には、特別陳列として同じ白鳳時代の仏像である東京・深大寺の重要文化財《銅造釈迦如来倚像》も展示されています。
千葉・龍角寺の薬師如来坐像頭部と並ぶ、関東伝来の白鳳仏(
龍角寺の白鳳仏はこちら)。凛々しい面相の洗練された作風は、中央でつくられて当地にもたらされたものと見られています。
重要文化財《銅造釈迦如来倚像》本展では、仏像好きとして知られるイラストレーターのみうらじゅんさんと、作家・クリエーターのいとうせいこうさんの2人が「仏頭大使」に就任、オリジナルグッズを開発しています。トートバッグやTシャツなどの定番だけでなく、「仏頭ループタイ」や、蓮の模様の「ロータスクッション」などレアなグッズも。会期中のみの限定販売ですので、お見逃しなく。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年9月2日 ]