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    レポート
    「レオナール・フジタ - 私のパリ、私のアトリエ」展
    ポーラ美術館 | 神奈川県
    「素晴らしき乳白色」は、あの粉だった?
    1920年代のパリ。各地から集まった画家たちは「エコール・ド・パリ」(パリ派)と称され、各々の個性を競い合っていました。モディリアーリらとともに、その中心にいたレオナール・フジタ。意外な大発見もあった企画展に伺いました。
    第3章「小さな職人たち」。1958年から翌年にかけて描かれた、子どもの職人尽くしともいえる油彩画の連作です。
    展覧会場
    館内レストランでは企画展にあわせた特別メニュー限定を提供。オードブル「鶏のテリーヌ フォアグラの香り」、メイン「鴨胸肉のロースト」、デザート「フルーツのフュテ」。伝統に重んじたフジタにちなんだ、クラシックなフレンチ、美味です!
    西洋絵画の常設展からルノアールの3作。中央は有名な「レース帽子の少女」です。
    ポーラ美術館ならではといえる化粧道具コレクション。
    今回のオミヤゲはルノアール「レース帽子の少女」もので、クリアファイル(315円)と「レース帽子の少女」のコスチュームキューピー(500円)。顔はイマイチ似ていないですが、キューピーですから…。

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    今回の展覧会では、土門拳の写真から見つかった驚くべき発見についても解説されています。フジタの絵からは「タルク」という素材が見つかっていましたが、その正体が何なのかは分かっていませんでした。制作技法について秘密を守ったフジタですが、20歳年下の土門拳は「君には手法を盗まれる心配がない」としてアトリエでの撮影を許されており、今回の展覧会を前に詳細に調査したところ、1942年ごろのフジタの執筆風景の写真に、シッカロール(和光堂によるベビーパウダーの商品名)の缶が写っていたのです。シッカロールの成分にはまさに「タルク」が使われており、フジタは絵にベビーパウダーを用いていたことが始めて分かりました。身近な生活用具を制作に活かした、フジタの知恵に驚かされます。


    生涯で5度の結婚をしたフジタ。最後の妻、君代とは50歳で結婚し、73歳の時にともにカトリックの洗礼を受けて、洗礼名「レオナール」を授かりました。1968年に81歳でパリで死去。亡骸はフジタの構想によって造られた礼拝堂「シャペル・フジタ」に、君代夫人とともに眠っています。


     


    ポーラ美術館は2002年の開館。景観保護の観点から建物の主要部分は地下に作られています。印象派を中心とした西洋絵画、日本画、日本の洋画、東洋陶器など9,500点を収蔵。ゴッホ、マネ、ルノワール、モネ、スーラ、セザンヌ、ゴーガンなど、そのコレクションはとても豪華です。ちょっと珍しいのは化粧道具のコレクションで、化粧品メーカーのポーラならではといえるでしょう。


    現在、ポーラ美術館がある箱根エリアでは、同美術館を含む7つの美術館で「HEART museum」企画を実施中(2011年6月30日まで)。入館したケットの半券を呈示すれば、他の美術館でも入館割引などの優待が受けられます。


    今回の企画展では、会期中限定のオリジナルグッズも発売中。フルーツキャンディー、キーホルダー、マグカップなど、ポーラ美術館でしか手に入らないフジタグッズ8種類が、ミュージアムショップで販売されています。フジタ作品のオリジナルグッズは珍しく、貴重なお土産になりそうです。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年5月20日 ]

    会場
    会期
    2011年3月19日(土)~ 2012年1月15日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:00~17:00(入館は16:30まで)
    休館日
    年中無休(展示替の為、臨時休館あり)
    住所
    〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
    電話 0460-84-2111
    公式サイト http://www.polamuseum.or.jp
    展覧会詳細 「レオナール・フジタ 私のパリ、私のアトリエ」 詳細情報
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