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今回の展覧会では、土門拳の写真から見つかった驚くべき発見についても解説されています。フジタの絵からは「タルク」という素材が見つかっていましたが、その正体が何なのかは分かっていませんでした。制作技法について秘密を守ったフジタですが、20歳年下の土門拳は「君には手法を盗まれる心配がない」としてアトリエでの撮影を許されており、今回の展覧会を前に詳細に調査したところ、1942年ごろのフジタの執筆風景の写真に、シッカロール(和光堂によるベビーパウダーの商品名)の缶が写っていたのです。シッカロールの成分にはまさに「タルク」が使われており、フジタは絵にベビーパウダーを用いていたことが始めて分かりました。身近な生活用具を制作に活かした、フジタの知恵に驚かされます。
生涯で5度の結婚をしたフジタ。最後の妻、君代とは50歳で結婚し、73歳の時にともにカトリックの洗礼を受けて、洗礼名「レオナール」を授かりました。1968年に81歳でパリで死去。亡骸はフジタの構想によって造られた礼拝堂「シャペル・フジタ」に、君代夫人とともに眠っています。
ポーラ美術館は2002年の開館。景観保護の観点から建物の主要部分は地下に作られています。印象派を中心とした西洋絵画、日本画、日本の洋画、東洋陶器など9,500点を収蔵。ゴッホ、マネ、ルノワール、モネ、スーラ、セザンヌ、ゴーガンなど、そのコレクションはとても豪華です。ちょっと珍しいのは化粧道具のコレクションで、化粧品メーカーのポーラならではといえるでしょう。
現在、ポーラ美術館がある箱根エリアでは、同美術館を含む7つの美術館で「HEART museum」企画を実施中(2011年6月30日まで)。入館したケットの半券を呈示すれば、他の美術館でも入館割引などの優待が受けられます。
今回の企画展では、会期中限定のオリジナルグッズも発売中。フルーツキャンディー、キーホルダー、マグカップなど、ポーラ美術館でしか手に入らないフジタグッズ8種類が、ミュージアムショップで販売されています。フジタ作品のオリジナルグッズは珍しく、貴重なお土産になりそうです。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年5月20日 ]