「レオナール・フジタ - 私のパリ、私のアトリエ」展の会場は、ポーラ美術館。車で御殿場インターより約20分、箱根・仙石原にあるこの美しい美術館は、かねてからレオナール・フジタの作品66点を所蔵していましたが、2011年2月に新たに44点を加え、計110点という日本最大級のフジタ・コレクションを有することになりました。今回の展覧会では、初公開作品11点も含めて、総数約120点を初めて一堂にしています。
レオナール・フジタは1886年生まれ。26歳でフランスに渡り、35歳の時に出品した油彩画3点で大絶賛を浴びて注目を集めました。絵の具を薄く塗り、モノクロームを主体に「やわらかい、押せばへこむような皮膚」を巧みに描いた裸婦像は、色鮮やかな絵の具を厚く盛り上げた作品が主流だった当事の画壇において、観衆の心をとらえたのです。白いカンバスの下地を活かした柔肌の裸婦は「素晴らしき乳白色」として賞賛されましたが、その技法についてはフジタは生涯秘密にしたため、多くの謎につつまれていました。
今回の展覧会は、フジタが画家として名声を得たパリ、そしてフジタの制作と生活の場でもあったアトリエに焦点をあてながら、それらがフジタの活動にどのような影響を与え、フジタの芸術がいかに形成されたかを探るものです。
展覧会場は、3つの章で構成されています。第1章「モンパルナスのフジタ」は、エコール・ド・パリの寵児となった1920年代のフジタの作品と、モディリアーニ、ローランサン、キスリングなど、フジタの仲間かつライバルたちの作品を紹介。第2章「アトリエのフジタ」は、フジタのアトリエでの手仕事や、写真家の土門拳によるフジタの制作風景の写真など。第3章「小さな職人たち」は子どもを主題とした作品で、子どもの「職人尽くし」ともいえる油彩画の連作です。