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    パリ・東京・大阪、TRIOの名品が大阪中之島美術館に集結(読者レポート)
    大阪中之島美術館 | 大阪府

    大阪中之島美術館では開館3周年を迎えるにあたり、パリ市立近代美術館、東京国立近代美術館とともに3館共通のテーマに沿った所蔵作品を選び、トリオ(3点1組)で展示するユニークな展覧会を開催しています。コレクション作品約150点、34トリオ。

    作品決定の過程においては、すぐに決まるテーマもあれば、時間を費やすことも。3館が1年以上のミーティングを経て選び抜いた作品を興味深く鑑賞できることでしょう。



    大阪中之島美術館



    「開館3周年記念特別展 TRIO パリ・東京・大阪 モダンアートコレクション」会場入口


    モデルたちのパワー

    3館のキュレーターが迷わず作品を選んだ奇跡的トリオ。ニース時代のマティス円熟期の作品、縦長の斬新な構図に妻を描いた萬鉄五郎の出世作、裸婦を集中的に描いた時代のモディリアーニの代表作。三人のモデルたちがこちらを見つめる視線は力強い。

    萬鉄五郎《裸体美人》は、9/14~11/22の期間限定展示となるのでお見逃しなきよう。



    (左から)アメデオ・モディリアーニ 《髪をほどいた横たわる裸婦》1917年 NAKKA、萬鉄五郎 《裸体美人》(重要文化財)1912年 MOMAT 展示期間:9/14~11/22、アンリ・マティス 《椅子にもたれるオダリスク》1928年 MAM(トリオ《モデルたちのパワー》)、(以下、MAM:パリ市立近代美術館、MOMAT:東京国立近代美術館、NAKKA:大阪中之島美術館)


    美の女神たち

    20世紀初頭の画家たちが描く女神たち。藤田嗣治とローランサンは親しく交流していたそうなので、このように隣同士に並んで、喜んでいるかもしれない。



    (左から)マリー・ローランサン 《プリンセス達》1928年 NAKKA、藤田嗣治(レオナール・フジタ)《五人の裸婦》1923年 MOMAT、ジャン・メッツァンジェ 《青い鳥》1912-13年 MAM(トリオ《美の女神たち》)


    こどもの肖像

    画家によって三者三様の少女たち。原勝四郎は細部を簡略化しているけれど、こんな感じの少女は居ると親しみを感じる作品。



    (左から)原勝四郎 《少女像》1937年 NAKKA、岸田劉生《麗子肖像(麗子五歳之像)》1918年 MOMAT、藤田嗣治(レオナール・フジタ)《少女》1917年 MAM(トリオ《こどもの肖像》)


    都市と人々

    三都それぞれの風景を象徴する場所とそこで生活する人々の情景を切り取ったトリオ。道頓堀川の川端に4階建ての建物が壁のごとく建ち並んでいる、こんな時代があったことを初めて知り少なからず驚きました。



    (左から)河合新蔵 《道頓堀》1914年 NAKKA、モーリス・ユトリロ 《セヴェスト通り》1923年 MAM、長谷川利行 《新宿風景》1937年 MOMAT(トリオ《都市と人々》)


    女性たちのまなざし

    展示コーナーを曲がり、目が合ったのはユトリロの母ヴァラドンの自画像。いつも通りの強い眼差しには離れていても引き付けられます。ちなみに、ユトリロの作品は2点出品されています。



    (左から)シュザンヌ・ヴァラドン 《自画像》1918年 NAKKA、藤島武二 《匂い》1915年 MOMAT、ピエール・ボナール 《昼食》1932年頃 MAM(トリオ《女性たちのまなざし》)


    夢と幻影

    洒落た色合いのウサギと思い近づくと、背中に女性を乗せたロバかもしれない、何とも幻想的なシャガールらしい好みの作品。3点とも見れば見るほど不思議な世界観に引き込まれます。



    (左から)マルク・シャガール 《夢》1927年 MAM、三岸好太郎 《雲の上を飛ぶ蝶》1934年 MOMAT、サルバドール・ダリ 《幽霊と幻影》1934年頃 NAKKA(トリオ《夢と幻影》)


    まどろむ頭部

    キリコ展も丁度開催中ですが、トリオ展では同時に鑑賞できるのです。また、ミュージアムショップでは、ブランクーシの「眠れるミューズクッション」が発売中。



    (左から)コンスタンティン・ブランクーシ 《眠れるミューズ》1910-1911年頃 NAKKA、ジョルジョ・デ・キリコ 《慰めのアンティゴネ》1973年 MAM、イケムラレイコ 《樹の愛》2007年 MOMAT 展示期間:9/14~10/27(トリオ《まどろむ頭部》)


    空想の庭

    私の一押しトリオはこちらです。三人の画家の共通点は植物。植物をモチーフにしたテキスタイル・デザインを手がけたデュフィ、植物学者を志したことのある辻永、画家になる前に園芸業を営んでいたボーシャン。三者三様の魅力的な作品が並ぶ中でも特に、赤とピンクの椿の絨毯の上で遊ぶ仔山羊たちの可愛らしいこと。



    (左から)辻永 《椿と仔山羊》1916年 MOMAT、ラウル・デュフィ 《家と庭》1915年 MAM、アンドレ・ボーシャン 《果物棚》1950年 NAKKA(トリオ《空想の庭》)


    3つそろえば、新たな視点。ピカソ、マグリット、バスキア、草間彌生など3館が所蔵するコレクション作品の魅力を最大限に引き出した「TRIO展」へ是非お出かけください。

    [ 取材・撮影・文:hacoiri / 2024年9月13日 ]


    会場
    大阪中之島美術館 4階展示室
    会期
    2024年9月14日(土)〜12月8日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00 – 17:00(入場は16:30まで)
    休館日
    月曜日、11/5(火) *11/4(月・休)は開館
    住所
    〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島4-3-1
    電話 06-4301-7285(大阪市総合コールセンター)
    公式サイト https://art.nikkei.com/trio/
    料金
    一般  2100円(団体 1900円)
    高大生 1500円(団体 1300円)
    中学生以下 無料
    展覧会詳細 「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」 詳細情報
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