手塚治虫による人気マンガ『ブラック・ジャック』。1973年11月に少年マンガ誌「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で連載が始まり、短期連載で終わる可能性があったものの、読者の支持を集めて、5年間、229話にわたって掲載。手塚治虫作品の中で最も人気のある代表作の一つになりました。
連載開始からちょうど50年。500点以上の原稿などを紹介し、過去最大規模となるブラック・ジャック展が東京シティビューで開催中です。
東京シティビュー「手塚治虫 ブラック・ジャック展」会場入口
会場に入ると、マンガの世界観を表現したフォトスポットから。ブラック・ジャックとピノコが過ごしたお馴染みの家をバックに、記念撮影をお楽しみください。
フォトスポット
展覧会は4章構成で、第1室は「B・J(ブラック・ジャック)とキャストたち」。ブラック・ジャックとピノコをはじめ、ドクター・キリコ、如月恵、本間丈太郎など、主要なキャラクターたちが登場します。
それぞれのキャラについての解説もありますので、ブラックジャック初心者の方は、まずはここをチェックしてください。
第1室「B・J(ブラック・ジャック)とキャストたち」
第2室は「B・J誕生秘話」。マンガの神様として知られる手塚治虫ですが、1970年前後は苦境に陥っていました。劇画の台頭などで、特に少年誌では「手塚は古い」とみなされるようになり、テレビアニメ「鉄腕アトム」を制作した虫プロは倒産と、どん底といえる状況でした。
会場では関係者による映像も紹介。『ブラック・ジャック』誕生の裏側を、生々しく語ります。
第2室「B・J誕生秘話」
「週刊少年チャンピオン」で連載が始まった『ブラック・ジャック』。医療をテーマにした読み切り作品を少年誌に描くのは、前代未聞といえる挑戦でした。
当初は手塚マンガのキャラクターが総出演し、4回ほどの短期で終わる可能性がありましたが、医学生だった手塚の経験も生かされた重厚な作品世界は人気を集め、最終的には5年間、229話にわたって掲載されました
第2室「B・J誕生秘話」 『ブラック・ジャック』が初めて登場した記念すべき第一話の原稿
第3室は「B・J曼荼羅」。約140話の原稿が、主要なテーマごとに紹介される圧巻の展示ゾーンです。「命 vs 金」「手術は成功したが…」「人でないものの命」など、『ブラック・ジャック』の多彩なストーリーをお楽しみいただけます。
第3室「B・J曼荼羅」
第4室「B・J蘇生」は、現代と当時の視点で『ブラック・ジャック』の魅力を紐解くコーナー。当時の読者が驚き惹きつけられた緻密な体内描写など、こちらもさまざまな原画が並びます。
第4室「B・J蘇生」
ユニークな展示が、昭和のニュース映像とともに『ブラック・ジャック』を読み解くコーナー。『ブラック・ジャック』の連載が始まった1973年は、東京オリンピックや大阪万博が終わった時代。高度経済成長は陰りを見せ、公害問題やロッキード事件など、社会不安も拡大していました。
『ブラック・ジャック』にも社会問題を背景にしたストーリーが、数多く見受けられます。
第4室「B・J蘇生」
会場を出た後には、特設ショップ「崖の上の一軒家」が設けられています。アートブックやオリジナルグッズなど、さまざまなアイテムが並びます。
『ブラック・ジャック』50周年を記念し、人気アパレルブランド「glamb」とのコラボレーションも実現しました。
特設ショップ「崖の上の一軒家」
もちろん、若い世代にもおすすめしたい展覧会ですが、連載当時を覚えているシニア以上のファンは必見です。会期は短めですので、ご注意ください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2023年10月5日 ]
©Tezuka Productions