六本木アートナイト2023が開催されました。4年ぶりのオールナイト開催となった今年のテーマは「都市のいきもの図鑑」です。
メインプログラム・アーティストに栗林隆+Cinema Caravanと鴻池朋子を迎え、約45組のアーティストによる、約70のプログラムで、六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、国立新美術館ほか、六本木のまちなかがアートであふれました。
空調と照明の整った美術館の展示室とは、ひと味違う夜の六本木で、眠気と闘いながらアート鑑賞を楽しんできたので、その様子をレポートします。
なお、作品点数が多いので、「六本木ヒルズ」編、「東京ミッドタウン、国立新美術館、六本木のまちなか」編の2回に分けてお届けします。
「六本木ヒルズ」編
メトロハットのエスカレーターを登り、66プラザに出てすぐ右手側に、カラフルな作品があります。エマニュエル・ムホーの《100 colors no.43「100色の記憶」》です。
表面には、西暦で2023年から2003年までの数字が、手前から奥に向かって刻まれています。これは、時間をさかのぼる記憶を視覚化しているそうです。 六本木ヒルズは、今年でオープン20周年。お祝いのケーキに飾ったキャンドルのようにも見えました。
エマニュエル・ムホー 《100 colors no.43「100色の記憶」》
ウエストウォークの2階の奥には、紫色の骨組みが目立つ、江頭誠の《DXもふもふ毛布ドリームハウス》があります。机、椅子、自転車、傘など、ほとんどのものが毛布で覆われ、柔らかさが強調されています。
一方、ドリームハウスは、石、ガラス、金属などの硬質なものに取り囲まれていて、作品とそれを内包する空間の異質さを見せることが作家の狙いのように思いました。
江頭誠《DXもふもふ毛布ドリームハウス》
今回、楽しみにしていたのが、六本木ヒルズアリーナで行われる様々なパフォーマンスです。 特に、Close-Act Theatreの《White Wings》は、SNSなどでも取り上げられていて、ぜひ見たいと思っていました。
パフォーマンスには、長い脚と大きな羽を持つキャラクターと、羽のないキャラクター(階段の張り出しのところ)が登場します。
たまたま、隣の席にいた親子の会話が聞こえてきました。お子さんが、「このヒトたちは同じヒトなの。頭に角があって、指が長いよ」とお母さんに聞いています。
確かに、頭に角があって、指が長い特徴は同じですが、羽の有無と足の長さには大きな差異があります。さて、皆さんなら、何と答えますか。
Close-Act Theatre 《White Wings》
続いて、ベースとヴァイオリン、パーカッションのコンサートです。 バルカン半島にルーツを持つ、少し寂しげな曲のアレンジのようですが、とても楽しい演奏です。 冒頭、ヴァイオリンの演奏者が素足で出てきて驚いたのですが、音響のスイッチングを足の指で器用に操作するのですね。
Otoji+Ray 《Otoji+Ray コンサート》
櫛田祥光の《歓喜》は、20名以上の若手ダンサーが参加するダンス・パフォーマンスです。 交響曲第9番/第4楽章:歓喜に合わせて約20分間、パワフルに踊りっぱなし。ダンサーの顔から汗が光って流れるのが、客席から見えるほどの大熱演でした。
演技中、前列のダンサーがピアスをしていることに気がつきました。他のダンサーも見てみると、10名くらいはピアスをしているようで、それぞれにキラリと光るデザインでした。
櫛田祥光《歓喜》
オールナイト営業の森美術館で、「ワールド・クラスルーム」展と東京シティビューでは「ヘザウィック・スタジオ」展を見て、夜が明けたら、再びヒルズアリーナに降ります。六本木アートナイトならではのラジオ体操に参加するためです。
インビジブル+日本フィルハーモニー交響楽団 《クラシックなラジオ体操》
タイトルにある通り、日本フィルハーモニー交響楽団の生演奏で、来場者の皆さんと一緒にラジオ体操をします。眠かったのですが、写真撮影の後、少しだけ体を動かしました。
2018年から始まった参加型アートプロジェクト「つむぐプロジェクト」のパフォーマンスもありました。今年は「都市と人の成熟」をテーマに、「紡舞プロジェクト」として、振付家、ダンサーの森下真樹さんと一緒に考え、活動してきたそうです。
パフォーマンスの最後に、参加者の自己紹介がありました。ある参加者の自己紹介の声を聴き、顔を見てびっくり、知人です。後で話を聞いたら、このプロジェクトの企画(ディレクター)をしていると聞き、またびっくりです。
六本木ヒルズ周辺のプログラムのご紹介は以上です。 続きは「東京ミッドタウン、国立新美術館、六本木のまちなか」編でご案内します。
[ 取材・撮影・文:ひろ.すぎやま / 2023年5月27日 ]
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