IM
    レポート
    ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界
    国立映画アーカイブ | 東京都
    展覧会シリーズ「ポスターでみる映画史」の第4弾は、恐怖映画を総ざらい
    ジョーズ、ゾンビ、犬神家の一族…。映画黎明期から続いた恐怖映画の系譜
    伝統的な怪談と、大ブレイクのジャパニーズホラー。日本の恐怖映画も強烈

    ジョーズ、ゾンビ、犬神家の一族…。さまざまな作品がつくられてきた映画の世界で、見る人に恐怖を抱かせる映画は記憶に残る作品も多く、観客からも支持を集めてきました。

    『カリガリ博士』などの古典から、『ジョーズ』などのパニック映画、そして日本の怪談映画やJホラーの最新作まで、数々の恐怖映画ポスターを紹介する展覧会が、国立映画アーカイブで開催中です。


    国立映画アーカイブ「ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界」会場入口
    国立映画アーカイブ「ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界」会場入口


    展覧会は第1章「恐怖映画の古典 怪人・怪物」から。古くは無声映画の時代から始まった恐怖映画の世界。狂気の科学者、異形の怪人などは、トーキー、カラー映画、3Dと、映画技術の発展とともに、さまざまな作品が作られていきました。

    この章は一般の来場者も撮影可能。高さが2メートル近い『オペラの怪人』巨大ポスターとのツーショットなど、お楽しみください


    国立映画アーカイブ「ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界」会場より 第1章「恐怖映画の古典 怪人・怪物」
    第1章「恐怖映画の古典 怪人・怪物」


    第2章は「狂気と幻想を求めて サイコホラー、ゴシックホラー」。映画の文化が広がっていくと、描かれる恐怖は見た目や行動など外面的なものだけでなく、人間の心に潜む闇や異常心理など、内面的なものも題材になっていきます。

    1950年代後半から70年代にかけては、ドラキュラやフランケンシュタインなど、怪人・怪物映画のリメイクに基づく数々のゴシックホラー作品も作られました。


    国立映画アーカイブ「ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界」会場より 第2章「狂気と幻想を求めて サイコホラー、ゴシックホラー」
    第2章「狂気と幻想を求めて サイコホラー、ゴシックホラー」


    第3章は「未知なるものの襲来 パニック、そしてゾンビ」。1950年代には『遊星よりの物体X』『宇宙戦争』などのSFパニック映画が流行。また『鳥』『ジョーズ』など動物パニック映画にもあるように、得体のしれないものの襲来は、大きな恐怖を呼び起こします。

    その究極の存在といえるのが、ジョージ・A・ロメロが生んだゾンビ。「ゾンビに食べられるとゾンビになる」という設定は大きな反響をよび、まさにゾンビのように同種の作品が次々に作られていきました。


    国立映画アーカイブ「ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界」会場より 第3章「未知なるものの襲来 パニック、そしてゾンビ」
    第3章「未知なるものの襲来 パニック、そしてゾンビ」


    第4章は「より鮮烈に、より残酷に オカルトとスプラッター」。1968年、アメリカ映画界は「一般向け」「成人向け」などのレイティング制度に移行。より鮮烈で残酷な映画もつくられるようになりました。

    『エクソシスト』『オーメン』などのオカルト映画は大ブームに。『死霊のはらわた』などの血しぶきが飛び散るスプラッター映画も話題になりました。


    国立映画アーカイブ「ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界」会場より 第4章「より鮮烈に、より残酷に オカルトとスプラッター」
    第4章「より鮮烈に、より残酷に オカルトとスプラッター」


    第5章と第6章は「日本の恐怖映画」。「四谷怪談」「化け猫」「番町皿屋敷」など、日本では映画が生まれる前から怪談が語り継がれており、歌舞伎などで庶民にも親しまれていました。

    そのせいか日本で映画が始まると、早くから怪談に基づく映画が作られました。特に『四谷怪談』は数えきれないほど映画化されており、会場には1928年の『四谷怪談』をはじめ、さまざまなポスターが並びます。


    国立映画アーカイブ「ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界」会場より 第5章「日本の恐怖映画(1)」
    第5章「日本の恐怖映画(1)」


    恐怖映画としてだけでなく、日本の映画ポスター史に残る名作といえるのが、1976年の『犬神家の一族』。角川春樹事務所の第1回映像作品で、水面から突き出た足の映画ポスターは、見る人に大きな衝撃を与えました。作品は、市川崑監督・石坂浩二主演による金田一耕助シリーズの第1作でもあります。


    国立映画アーカイブ「ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界」会場より 第6章「日本の恐怖映画(2)」
    第6章「日本の恐怖映画(2)」


    1998年には『リング』が公開。テレビの中から這い出てくる長い前髪の「貞子」は見る人を恐怖のどん底に陥れ、『呪怨』『着信アリ』などジャパニーズホラーが大ブームになりました。


    国立映画アーカイブ「ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界」会場より 第6章「日本の恐怖映画(2)」
    第6章「日本の恐怖映画(2)」


    展覧会は「西部劇の世界」「ミュージカル映画の世界」「SF・怪獣映画の世界」に続く第4弾。今回は恐怖映画の音楽が会場で流されており、『ジョーズ』『オーメン』『トワイライトゾーン 超次元の体験』など18曲を用意。耳でも恐怖の世界を追体験できます。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2022年12月12日 ]

    第1章「恐怖映画の古典 怪人・怪物」
    第2章「狂気と幻想を求めて サイコホラー、ゴシックホラー」
    第3章「未知なるものの襲来 パニック、そしてゾンビ」
    第4章「より鮮烈に、より残酷に オカルトとスプラッター」 『サスペリア』のポスターの惹句(じゃっく:キャッチコピー)「決して、ひとりでは見ないでください」は有名です。
    第5章「日本の恐怖映画(1)」
    第6章「日本の恐怖映画(2)」
    特別コーナー
    特別コーナー
    会場
    国立映画アーカイブ
    会期
    2022年12月13日(火)〜2023年3月26日(日)
    会期終了
    開館時間
    11:00am-6:30pm(入室は6:00pmまで)
    *1月27日と2月24日の金曜日は11:00am-8:00pm(入室は7:30pmまで)
    休館日
    月曜日および12月27日(火)~1月3日(火)は休室
    住所
    〒104-0031 東京都中央区京橋3-7-6
    電話 050-5541-8600
    公式サイト https://www.nfaj.go.jp/
    料金
    一般250円(200円)/大学生130円(60円)/65歳以上、高校生以下及び18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料
    *料金は常設の「日本映画の歴史」の入場料を含みます。
    *( )内は20名以上の団体料金です。
    *学生、65歳以上、障害者、キャンパスメンバーズの方はそれぞれ入室の際、証明できるものをご提示ください。
    *国立映画アーカイブが主催する上映会の観覧券(オンラインチケット「購入確認メール」またはQRコードのプリントアウト)をご提示いただくと、1回に限り団体料金が適用されます。
    展覧会詳細 「ポスターでみる映画史 Part 4 恐怖映画の世界」 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    荻窪三庭園 施設管理運営スタッフ募集! [荻窪三庭園]
    東京都
    京都国立近代美術館 研究補佐員(学芸課・図書担当)の公募について [京都国立近代美術館]
    京都府
    多摩美術大学美術館 専任職員募集中! [多摩美術大学美術館]
    東京都
    (公財)宝塚市文化財団 学芸員募集(準事務職員) [宝塚市立宝塚文化芸術センター・庭園]
    兵庫県
    (公財)日本美術刀剣保存協会 学芸員募集 [刀剣博物館]
    東京都
    展覧会ランキング
    1
    国立西洋美術館 | 東京都
    モネ 睡蓮のとき
    開催中[あと46日]
    2024年10月5日(土)〜2025年2月11日(火)
    2
    麻布台ヒルズ ギャラリー | 東京都
    ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―
    開催中[あと37日]
    2024年11月1日(金)〜2025年2月2日(日)
    3
    京都文化博物館 | 京都府
    世界遺産 大シルクロード展
    開催中[あと37日]
    2024年11月23日(土)〜2025年2月2日(日)
    4
    日本科学未来館 | 東京都
    特別展「パリ・ノートルダム大聖堂展 タブレットを手に巡る時空の旅」
    開催中[あと39日]
    2024年11月6日(水)〜2025年2月4日(火)
    5
    米子市美術館 | 鳥取県
    MINIATURE LIFE展2 田中達也 見立ての世界
    開催まであと43日
    2025年2月8日(土)〜3月24日(月)