愛知県美術館で「ジブリパークとジブリ展」が始まりました。 本展は11月1日にオープンしたジブリパークがどのように作られたのか、これからどのように作っていくのかを様々な制作資料をもとにたどるものです。
愛知会場に先駆け、長野会場で7月に始まり、来年7月に開幕する山口会場まで、全国5会場を巡回します。 昨年の「ジブリの大博覧会」に続いて、東海地区のジブリファンには見逃せない展覧会です。
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オープニング ネコバスをバックに © Studio Ghibli
展覧会の見どころ
展示は、プロローグ、第1章「はじまりは三鷹の森ジブリ美術館」、第2章「アニメーションの世界をつくる」、第3章「アニメーションの世界を本物に」、第4章「ジブリパークのつくりかた」、エピローグで構成されています。
プロローグでは、1980年代から現在までのジブリ作品のポスターがずらりと並んでいます。ポスターの間をぬけると、巨大なネコバスが出迎えてくれます。作品の影響もあり、ネコバスが大きな体をくねらせ、展示室の入口で窮屈そうにしている様子を想像するのですが、案外、天井裏からするりと入ってくるのでしょうか。
第2章で面白かったのは、「アーヤと魔女」と「コクリコ坂から」を比較して、3DCGアニメーションと2Dセルアニメーションの作り方の違いを説明しているコーナーです。制作手順を細分化、専門化する様子が、工場などの近代化で工作機器やロボットを増やす様子に似ていて、共感するところがありました。
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展示風景 3DCGアニメーションと2Dセルアニメーションの制作工程の違い © Studio Ghibli
制作過程で背景をうまく省力化する方法もおもしろいです。離れて見ると、作り物っぽい背景が、カメラフレームの窓から見ると立体的に見えるから不思議です。ぜひ会場で実際に体験していただきたいと思います。
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展示風景 「アーヤと魔女」の一場面の模型 © Studio Ghibli
第4章「ジブリパークのつくりかた」では、ジブリパークの各会場の模型がたくさん出ています。模型なので塗装は白いままですが、自分ならどんな色に塗ろうか、デザイン画を見ながら考えても楽しいです。
そういえば、「ハウルの動く城」の脚部の模型が赤銅色に塗られています。ニワトリの足がモデルと聞いていたので、もう少し生物のような色を想像していたのですが、エレベーター塔の色に似たメカらしい色合いです。
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展示風景 エレベーター塔のデザイン画と模型 © Studio Ghibli
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展示風景 もののけの里のデザイン画と模型 © Studio Ghibli
本展は「見て、触って、ジブリパークを体験して」楽しむ展覧会です。ぜひ、五感をフルに使い、想像力を働かせ、ゆっくりとジブリパークに行くつもりで、見ていただけたらいいと思います。
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展示風景 エピローグ 見て、触って、ジブリパークを体験して © Studio Ghibli
本展では、フォトスポットが用意されています。立体にすると迫力満点のキャラクターばかりで、どなたも楽しめると思います。展示会場のある愛知芸術文化センターだけでなく、地下2階のアートショップ前にもあるので、お見逃しなく。
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展示風景 「にせの館長室」© Studio Ghibli
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地下2階アートショップ前のフォトスポット © Studio Ghibli
同時開催のコレクション展では、設楽知昭のコーナーと、あさいますおのコーナーが目を引きました。特に、設楽知昭の《透明壁画 人工夢》は印象的で、(非)対称性と(非)連続性、表裏逆転の混在する不思議な世界を楽しみました。
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展示風景 設楽知昭 《透明壁画 人工夢》2005 愛知県美術館蔵
最後になりましたが、愛知県美術館は今年で開館30周年になります。これからも、わくわくする展覧会を楽しみにしています。
[ 取材・撮影・文:ひろ.すぎやま / 2022年10月28日 ]
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