九州国立博物館で開催中のポンペイ展では、ナポリ国立考古学博物館の全面協力により日本初公開を含む125件の出土物を見ることができます。
九州国立博物館 ロビー
今から約2000年前、ローマ帝国の都市「ポンペイ」で暮らしていた人々の生活からは高度な文化と生活の豊かさが感じられ、その美しさに驚かされます。 ポンペイの遺跡はヴェスヴィオ山の噴火でタイムカプセルのように地中に埋もれていたため保存状態がよく、日本が弥生時代だった頃のものとは信じられません。
ブロンズ製品 左から《香油壺》《ストリギリス(肌かき器)》《ライオン頭部形の吐水口》《水道のバルブ》 ナポリ国立考古学博物館
炭化した食品 左から《炭化したパン》《炭化した干しブドウ》《炭化したイチジク》《炭化した穀類》 ナポリ国立考古学博物館
南イタリアのポンペイは当時から果樹栽培が盛んで、ワインやオリーブオイルで有名でした。展示品にはギリシャ神話の豊穣とブドウ酒の神(バックス)にまつわるものがいくつかありました。 ブドウ畑がひろがるヴェスヴィオ山と、なんとも可愛いブドウの房の姿をしたバックス。
《バックス(デュオニュソス)とヴェスヴィオ山》 ナポリ国立考古学博物館
東京大学の研究員が発掘した彫像。頭にブドウの葉と実が付いていて、フレスコ画とはまた違うスタイルのバックス。
《ヒョウを抱くバックス(デュオニュソス)》 一部アップ ノーラ歴史考古学博物館
フレスコ画にも登場するヘビは幸運のお守りでもあり、当時の人々の装飾品のモチーフとしても人気があったことが伺えます。
「ファウヌスの家」から出土した装飾品 左から《イヤリング》《指輪》《ヘビ形ブレスレット》 ナポリ国立考古学博物館
左から《双頭のヘビ形指輪》《石付き指輪》 ナポリ国立考古学博物館
フレスコ画にもなったヘビ。「ファウヌスの家」の床モザイクの再現にもみることができます。
《ファウヌスの家》談話室(エクセドラ)のモザイク床の再現
「ファウヌスの家」以外にも「竪琴奏者の家」「悲劇詩人の家」の一部が再現されていて、当時のポンペイにタイムスリップした気分を味わうことができます。「竪琴奏者の家」にはヘビ形のブロンズ噴水がありました。ぜひ会場で探してみてください。
会場風景 奥《竪琴奏者の家》中庭(ペリステュリウム)の一部再現/手前《悲劇詩人の家》広間(アトリウム)の一部再現
フレスコ画や彫像にも様々な動物が登場しますが、モザイク画には特に多くの動物が登場しています。ポンペイ展のパンフレットやチケットにも載っているモザイク画の猫はどの角度からみても目が合うように作られていて特に必見です。
《ネコとカモ》モザイク 一部アップ ナポリ国立考古学博物館
ヴェスヴィオ山は「ヨーロッパの時限爆弾」とも評される、世界で最も危険な火山のひとつです。今も続くポンペイ遺跡の発掘は、過去を知るだけでなく未来のことを考えるための大きな鍵となっているというのがとても印象的でした。
「POM」繋がりなのか、ポムポムプリンがポンペイ展とコラボしていて可愛いモザイク画や限定グッズになっています。ポンペイくんと一緒に写真を撮って投稿するインスタグラムの企画も開催中です。
ポンペイくんと古代ローマ風ポムポムプリン
ロビーにはジョジョの奇妙な冒険のパネルがあり、ポンペイ展の音声ガイドは声優の小野賢章さんと小野友樹さんが担当されています。
「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」のパネル
特別展開催期間の金曜日と土曜日は開館時間が20時(最終入館は19時半)まで延長され、昼の雰囲気とはまた違う夜の博物館を体験できます。
九州国立博物館 外観
九州国立博物館 外観
[ 取材・撮影・文:mai / 2022年10月15日 ]
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