2023年の朝ドラは、植物学者・牧野富太郎氏をモデルにした物語だと発表され、植物好きがときめく頃、大阪市立自然史博物館で開催中の本展に行ってまいりました。
植物のコミュニケーション?!
冒頭から「植物の五感」「植物のコミュニケーション」と気になるコピーが。なになに、イモムシに食べられたキャベツは特別の香りを出して、イモムシを殺す寄生バチを呼び寄せ、イモムシの駆除を行う、とのこと。さらに虫によって香りを変えてそれぞれの天敵を呼ぶことができる(らしい)。おそるべきキャベツ…第1章は誰かに話したくなる植物エピソード満載です。
第1章「植物という生き方」
〇〇すぎる植物
続いて、本展のメインビジュアルであるショクダイオオコンニャクやラフレシアなどが展示されていて、目にも楽しい第2章。
第2章「地球にはどんな植物が存在しているか」
世界最大の花「ラフレシア」。牛タンのように生々しくサラミのような赤い花弁がべろりとめくれていく官能的な開花シーンは必見です。
ラフレシア 京都府立植物園蔵
会場を出たところで、ショクダイオオコンニャクの開花時のにおいも体験できます!一気に吸い込みすぎるとオエッとなるので、食後は特にご用心。
おや、この事件現場のような線は。
「見落とされがちですが、これは世界最太とギネス認定されているトゥーレの樹の幹の実寸大のラインです」(大阪市立自然史博物館 学芸課長の佐久間大輔さん)
「咲くやこの花館」の協力による生態展示も見どころのひとつ。キソウテンガイやサボテン、エアプランツなど、「生きています」シールが目印です。
「ティランジア(エアプランツ)が現地に近い雰囲気です。タイミングが良ければ花を見ることもできますよ」(佐久間さん)
ティランジアの仲間 咲くやこの花館
最古の植物化石を世界初展示
第4章「植物はどのように進化してきたか」では、美しい古生代イラストをバックに大阪市立自然史博物館が誇る化石コレクションをはじめ植物化石が展示されています。
第4章「植物はどのように進化してきたか」
その反対側にはクックソニア・バランディの化石。円谷プロダクション風の模型と並ぶこの小さな化石は、4億3200万年前の地層から発見されたもので(目に見える大きさの中で)最古の植物化石!
長く行方不明になっていたけれど、チェコの博物館の引越しにともない収蔵庫で発見され、このたび世界初展示とのこと。幾重ものロマンにクラクラしてきます。
(手前)クックソニア・バランディ チェコ国立博物館蔵
本当は怖い植物たち
書籍タイトルのような第5章では、食虫植物やトリカブトなどを紹介しています。
第5章「本当は怖い植物たち」
「ハエトリソウの巨大模型、感覚毛がよくできているのでご注目ください」(佐久間さん)
30秒以内に2回、感覚毛に触れるとハエトリソウは葉を閉じます。雨やゴミなどに惑わされず、動き回る虫のみ捕虫するための仕組み。ハエトリソウ はホームセンターでも売っているのでぜひご自宅でも!我が家にもいます。
ハエトリソウ巨大模型
第3章「植物の形と成長」ではエンドレスで流れる「花の遺伝子ABC」が耳にこびりつきつつ、第6章「生命の源、光合成」ではインスタレーション展示「光合成FACTORY」を楽しみつつ、高校生物で学んだ遺伝や光合成を甘酸っぱく思い出しました。知らない人も楽しめるけど、学んだ人もカルビン回路とか懐かしめるような工夫がてんこもり。
遊んで楽しめる「光合成FACTORY」
植物は脇役ではない!
本展は植物を総合的に多角的に紹介するこれまでにない大規模な展覧会。これまで恐竜や昆虫、化石の展示の陰に隠れていた植物の、記念すべき初の主役の大舞台ですよ。例えば古生代の復元イラストも、恐竜をセンターにしないように工夫されたとか。
標本・模型・インスタレーション展示に加え動画も多数で、何回来ても楽しめそうです。ぜひ会場で体験ください。
「ここに展示しきれなかったアサガオの巨大模型などを展示している本館もお見逃しなく。また、ネイチャースクエアでは基本的に学芸員が常駐して質問を受け付けています。メールでもお気軽にご質問ください」(佐久間さん)
[ 取材・撮影・文:ポラン・シャ / 2022年2月28日 ]
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