「ホー・ツーニェン 百鬼夜行」展が始まりました。
本展は《旅館アポリア》(豊田市・喜楽亭 2019年)、《ヴォイス・オブ・ヴォイド》(山口市・山口情報芸術センター 2021年、京都市・京都芸術センター 2021年)に続く、ホーによる日本をテーマとしたプロジェクトの第3弾です。
会場入口
今回の展示には驚きました。豊田市美術館の大きな展示室が、まるまる暗幕で覆われ、真っ暗な中に様々な妖怪の映像が流れています。まるでタイトルそのままに百鬼夜行のただなかに紛れ込んだように思いました。
展覧会の見どころ
作品には多くの妖怪が登場します。中には、作家が日本のアニメ(「ジョジョの奇妙な冒険」(荒木飛呂彦)や、「AKIRA」(大友克洋))に影響を受け、独自に想像したものも登場するそうです。
会場風景
作品によっては、スクリーンの表と裏の両方から鑑賞できるものもあります。表から見ると左から右に行進していた妖怪たちが、裏から見ると右から左に行進しているように見えます。
文字を書くとき、英語だと左から右に書きますが、日本語で縦書きするときは右から左に書きます。スクリーンの表と裏を見ることで西洋と東洋の文化の違いに気づかせてくれます。
会場風景
それぞれの妖怪の特徴を百科事典のように説明してくれる作品もあります。妖怪の変身する様子は、まるでファッションショーのような鮮やかさです。
そういえば、≪旅館アポリア≫の時と同じように、作品には特徴的なBGMが使われています。暗闇に目が慣れたら、音にも注意を向けてみてください。
本展に登場する妖怪たちは、とてもユーモラスです。怖がらずに、スクリーンの向こう側から妖怪になったつもりで、現代を見渡してみると、何かしら新しい発見があるのではないでしょうか。
本展展示室内は、一部撮影不可です。特別に許可を得て、撮影しています。
コレクション展
同時開催されているコレクション展のタイトルは、「絶対現在」です。 こちらには河原温の日付絵画(1971年5月1日から31日まで)が展示されています。 まるまる1か月分の日付絵画を見られる機会は、めったにないので驚きました。
会場風景
黒い彫刻と白い彫刻をみて、「かっこいい」とつぶやいているお客様もいらっしゃいました。確かに、モノトーンでまとまった、かっこいい展示だと思います。
会場風景
また、3年におよぶプロジェクトの最初の作品の《旅館アポリア》が12月4日から期間限定で再現・公開されます。2019年の公開時は、順番待ちの行列も珍しくないほど好評でした。少し先の予定ですが、こちらもぜひ見に行きたいと思います。
[ 取材・撮影・文:ひろ.すぎやま / 2021年10月23日 ]
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