今日は神戸酒処の“灘”近くにある兵庫県立美術館を訪ねました。特別展『ハリー・ポッターと魔法の歴史』が1年の延期を経て開催されるからです。
世界中の多くのファンに愛されるファンタジー小説「ハリー・ポッター」は1997年の初版より20年、7巻が発行され85以上の言語に翻訳されました。また、8本の映画になり世界中で楽しまれています。
今回は大英図書館が特別展を企画し、ロンドン、ニューヨークそして日本(神戸と東京)へと国際巡回が実現いたしました。さあ、キングス・クロス駅9と3/4番線からホグワーツ特急でハリー・ポッターと一緒に魔法の世界へ出発しましょう!
兵庫県立美術館
さあ、出発です
展覧会はホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って章立てされ、大英図書館所蔵の大変貴重な資料と小説の世界を結びながら、原作の背景や魔術について紐解きます。
展示室全体が図書館のイメージに統一され、小説原作者であるJ・K・ローリングの直筆原稿やストーリーのイメージイラストが並び、そして主人公や仲間たちと個性あふれる先生たちもイラスト版をかいたジム・ケイの原画で観ることができます。
第一章 旅
《アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア教授の肖像》と《ミネルバ・マクゴナガル教授の肖像》 ジム・ケイ ブルームズベリー社
「『ハリー・ポッターと死の秘宝』の初期草稿」 J.K.ローリング とウリッセ・アルドロヴァンディ『蛇竜誌』大英図書館
「『ハリー・ポッターと賢者の石』読書感想文」(複製)アリス・ニュートン(8歳) ナイジェル・ニュートン / ブルームズベリー社と《ハリー・ポッターとダーズリ一家のスケッチ》J.K.ローリング
科目というのは、魔法薬学、錬金術、薬草学、呪文学、天文学、占い学、闇の魔術に対する防衛術、魔法生物飼育学となり、いずれもホグワーツ魔法魔術学校で学ぶ科目です。
ハリー・ポッターの小説の世界は、古来からの魔法学とちゃんとリンクして組み立てられていることを知り、少し驚きを感じました。展示も各科目を小説シーン、古書籍、資料遺物と関連づけて並べてあり、トータルして理解することができます。
「天球儀」ヨハン・ガブリエル・ドッペルマイヤー 大英図書館 と 「大太陽系儀」ジェームス・シモンズ、マルビー&カンパニー製 国立海事博物館
《ヒッポグリフのバックビークの習作》ジム・ケイ ブルームズベリー社 『狂えるオルランド』ルドヴィコ・アリオスト 大英図書館 『ヨーロッパの鳥類』ジョン・グールド 大英図書館
小説のあのセリフは・・こういうことだったのか! 呪文はここに原点があったのね!
薬草はこんな特性を持つんだ! 登場人物の名前はここからきていたのか!
あのシーンに出てくる動物たちはこういう意味があったとは!・・など学術的裏付けが根底にあることに感動さえしてしまいます。
日本では忍者・忍術も薬草や天文の知識を活用していたことが知られ、魔術との共通性も伺えます。馴染みが薄く理解するのが難しい外国の生活の知恵活用などもありますが、今から学んでも役立ちそうな魔法学はとても興味深く思います。
私も数冊の本を持っていますが、新しいハリー・ポッターの世界の楽しみ方を得て、読み返すのも良し、魔法使いをめざして学ぶもよしです。“大人のハリー・ポッター学”ともいえる特別展です。
「オルガ・ハントの箒」魔術・魔法博物館と《クィディッチをするハリー・ポッターとドラコ・マルフォイの習作》ジム・ケイ ブルームズベリー社
次の巻発行が待ち遠しかった小説「ハリー・ポッター」
兵庫県立美術館は、阪神・淡路大震災からの文化の復興のシンボルとして2002年に開館。安藤忠雄氏による設計で、建築鑑賞も是非お勧めしたい美術館です。
屋外に配置された彫刻作品やオブジェ、風景になじんだ存在感のある美術館はさまざまな楽しい仕掛けがあります。そして疲れたらちょっと美味しい休憩も可能です。潮の香りする街、きっと素敵な秋の散策になると思います。
円形テラス
海側には大階段やオブジェも
魔法が使えたら何をしよう・・
[ 取材・撮影・文:ひろりん / 2021年9月10日 ]
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