
©原泰久/集英社
上野の森美術館で『キングダム展 -信-』が開催されています。
原 泰久氏作『キングダム』は「週刊ヤングジャンプ」(集英社)に連載中の大人気漫画。TVアニメや実写映画も大ヒットしています。漫画作品の原画を中心とした展覧会は、作品の世界観を立体的に体感できるところが大きな魅力。
“感動の名場面が生原稿と巨大グラフィックで再構成されている、これまでにない規模の原画展” と聞き、『キングダム』の世界に浸る特別な機会にしたいと思い、自分の服がそれを邪魔したりしないように、目に立たないモノトーンのものを着て、見学に行ってきました。
500年以上も続いた大戦国時代

©原泰久/集英社
作品の舞台は紀元前、中国春秋戦国時代の末期。 中華統一を目指す秦国の王・嬴政と、天下の大将軍を志す主人公・信が運命的な出会いを果たし、それぞれの立ち位置で夢に向かい、戦いを進めていく物語。
千、万、という単位の大軍を率いて繰り広げられる、戦闘シーンのスケールの大きさや、巧みな戦術も見どころです。
順路通りに進んでいくと、途中、戦場効果音(太鼓や兵士の声など)が流れていたり、雨音が再現されていたりと、臨場感のある演出にも引き込まれました。
信と一緒に見上げる王騎将軍
「ココココ」という文字に続く王騎将軍の巨大パネル。

©原泰久/集英社
『キングダム』には、個性的で存在感のある将軍や軍師が多数登場します。
物語でも重要な役割を果たす王騎将軍は、高さ3mという巨大な和紙パネルに描かれていました。 初対面で驚いている信と一緒に、その姿を見上げることができます。
飛信隊の誕生と躍動感
飛び上がる信が飛び出す立体展示。

©原泰久/集英社
武功により自分の隊をもつことになった信。 飛信隊を率いて活躍していく姿が、立体的な造作も用いて躍動的に表現されていました。
刀の音まで聞こえてきそう

©原泰久/集英社
王騎将軍の死につながっていく戦いの場面。
割れて飛び散る破片のようにも見える配置からか、打ち合う刀の音まで聞こえてくるようです。睨み合う視線からは周囲にエネルギーが拡散していくようで、赤い背景も印象的でした。
頭角を現す新しい力

©原泰久/集英社
王騎将軍から矛を託された信。
同じく三百人隊を率いる王賁、蒙恬と出会い、競い合いながら武功を挙げていきます。 顔全体は見えない凛々しい表情が、3人の今後の活躍を予感させます。
人の本質は光

©原泰久/集英社
第11章からは本展覧会のオリジナル展開になっています。
「人の本質は光」という嬴政の言葉。その考えに至った経緯が、高さのある広大な空間を使って描き出されています。 46点のモノクロ原画を鑑賞してから書かれた言葉を見上げると、思いの集った夜空を眺めているような気持ちになりました。
美術館入り口には巨大ポスターが
上野の森美術館は、東京の台東区、上野恩賜公園内にあります。 入り口には巨大なポスターがあり、訪れた人たちが順番に記念撮影をしていました。 会場内の公式ショップで購入できる展覧会オリジナルグッズも必見です。
[ 取材・撮影・文:晴香葉子 / 2021年6月11日 ]
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