
昨年の4月にリニューアルオープンした京都市京セラ美術館で、改装以来初めての大きな海外の展覧会「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話」が開かれています。
新緑が美しい京都市岡崎公園を訪れました。
「世界のはじまりを伝える」という展覧会コンセプト

3匹の魚とロータスを描いた浅鉢
古代エジプトでは、この世界の始まりは、「原初の海」のヌンの中にあったと考えられていました。天地創造の象徴である魚とロータス(睡蓮)を描くこの美しいコバルトブルーの浅鉢は、図録の作品番号がNo1ですが、展示の最後に置かれています。循環・再生を暗示しています。
古代エジプトにおける八百万の神々

腹ばいになる山犬の姿をしたアヌビス神像
均整の取れた姿とこの整った顔立ち!なんとイケメンでしょう!山犬の姿をしたアヌビス神像です。 古代エジプトにおいて、山犬の姿、山犬の頭部をもつ男性として描かれたアヌビス神は、墓地や死者の守護者として捉えられていました。
会場の3か所で、古代の人々の思想、考えを説明するためのアニメーションが上映されていますが、その案内役が、アヌビス神です。
2500年以上前の木棺に残る鮮やかな装飾

タイレトカプという名の女性の人型棺
棺の外側にも、内側にもびっしり描き込まれた絵とヒエログリフ。その圧倒的な量に、思わずひるんでしまいそうになります。 古代エジプトの人たちが、死後の世界をどう考えていたのか、垣間見える気がします。
飽きさせない展示の工夫

会場フロアに投影されたスカラベ
国立ベルリン・エジプト博物館は、古代エジプト、古代ギリシャ・ローマなどのコレクションでは、世界的な規模と質を誇ります。それらの中から、今回の展覧会は、特別にセレクトされたものを展示し、そのうち100点以上が本邦初公開のものです。
会場内3か所で上映されるアニメーションをはじめ、フロアに投影される図柄など、随所に展示の工夫がみられ、エジプトビギナーでも、最後まで興味深く見ることができます。
また、2種類の音声ガイドのうち、荒牧慶彦×QuizKnockバージョンでは、小中生に人気の東大クイズ王・井沢拓司らがオリジナルクイズを出題するので、きっとお子さんたちも知らず知らずのうちに古代エジプトの世界に引き込まれることでしょう。
リニューアルされた博物館を楽しもう!

ガラスの大屋根をかけて室内化した「光の広間」
2020年4月に大規模リニューアルオープンした京都市京セラ美術館ですが、館内では大胆なリニューアルを体感できます。
ここは、元々屋外の中庭であったところにガラスの大屋根をかけて、光の広間とし、レセプションなどが行えるようになりました。80年余の歳月を経た建物外壁とそれを覆うガラスの大屋根が違和感なく共存しています。

ガラスのファサード「ガラス・リボン」越しの平安神宮大鳥居
歴史的建築と融合したガラスのファサード「ガラス・リボン」には、おしゃれでハイセンスなカフェやミュージアムショップがあります。 歴史とモダンの調和する、京都らしい空間です。
[ 取材・撮影・文:atsuko.s / 2021年4月16日 ]
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