初台の東京オペラシティ アートギャラリーで、1月16日(土)から3月21日(日)まで、千葉正也個展が開催中です。
《みんなで冒険しようぜ#3》2017 個人蔵
独特な空間で、発見の連続の楽しい展覧会です。
解説文がありません。そして、ほとんどのキャンバスが壁に貼られずに、空間に存在しています。

《ウーロン茶を飲む男》2017 ジョセフ・パン氏蔵
驚いた事に、亀のための壮大な家がしつらえられていました。大邸宅です。
最初から最後まで連なる大きな物体が亀の家だとわかった時、愉快な気持ちになりました。亀にお会いできた時は、嬉しかったです。

ジャンプ#3 2014 コニー・ラム氏蔵
愉快でクスッと笑える作品が、特殊な方法で展示されています。子供達は、きっとテンションが上がることでしょう。
立体的な展示で、アスレチックに来ている気分になりました。 表面と同じくらいの数の裏面も見えます。 キャンバスの裏面のサインも楽しめます。

偉大な女 2009 個人蔵
この大きなキャンバスの表面はこちらです。

《平和な村》2019 東京国立近代美術館蔵
この木造の亀の家は、2006年の《平和な村》と2019年の《平和な村》にもつながっています。 2006年の《平和の村》には、ハワイアンな音楽も流れています。

(左)ジャンプ#1 2014 個人蔵 (左)《平和な村》2006 高橋龍太郎コレクション蔵
千葉さんは、ネコ派・イヌ派ではなく、カメ派なのでしょうか? 亀への愛情が感じられました。

《原始時代の終焉》の一部 2017 眞田一貫蔵
壁には亀サイズの通路が作られています。 この通路を通る亀の姿を見たくて、全ての穴を確認しました。
亀の家の飾りでしょうか?それとも、人間のための空間でしょうか? 亀中心のユーモアな世界観に、人間が中心なのか、カメが中心なのかわからなくなりました。

《この椅子に座ることができます。#1》2018 個人蔵
心地の良い空間です。
穏やかな時間の流れを感じます。 壁沿いにズラリと並んだこの本をゆったり読みたい気持ちになりました。

《ヘビ型本棚、宇宙英雄ベリーローダンシリーズ、1巻から627巻まで》2018 作家蔵
亀の部屋は4つあり、長い通路でつながっています。1部屋ごとに雰囲気が違うので、気分によって亀は部屋を移動するのでしょうか。
贅沢ですね。 こんな植木が置かれた部屋で、楽しいイベントについての計画を練るのも良いですね。

虹と文字の絵 2016 個人蔵
通路に沿って作品が展示されていて、亀も人間もゆったりと鑑賞できるようになっています。 どうやら、作品を見るための目線は、基本的には亀に合わせてあるようです。

作品には、ユーモアがあり、クスッと平和に笑える作品です。 そして、思わず本物かと思い、確認のために眺め入ってしまうほど本物のような絵です。

原始時代の終焉(部分)2017 眞田一貫蔵
コーナーの床の《90年代のフレーバー》は、香りを確認したくて思わず座り込みました。 どの作品も作品に吸い寄せられて、作品に近づき過ぎてしまいます。

《90年代のフレーバー》2019 作家蔵
オペラシティの外の巨大オブジェに対して、窓際に揚げ物が供えられているように見えました。

千葉さんのユーモアに、心が柔らかくなりました。 そして、亀さんのゆったりとした時間に包まれて、穏やかな気持ちになりました。
[ 取材・撮影・文:法乙 / 2020年1月15日 ]
読者レポーター募集中!あなたの目線でミュージアムや展覧会をレポートしてみませんか?