1989年、日本がバブル絶頂期に始動された「世界の数奇屋」を作るプロジェクトで建設された「ホテル川久」。
誰も見たことのない、中国、ヨーロッパ、イスラム、日本と、世界中の匠の技術を融合させた唯一無二の、夢の城。
30年のときを経て、「川久ミュージアム」として本格始動。
イタリア人職人の手によって敷き詰められた緻密な1,500㎡のローマンモザイクタイルの床、フランス人間国宝の手による壮大な22.5金の金箔ドーム天井、ロビー壁面には、ニューヨーク・メトロポリタン美術館の鑑定で2世紀頃にシリアのものと判明した貴重な鹿と豹のビザンチンモザイク画が埋め込まれています。
外壁には中国の紫禁城にのみ使用を許された鮮やかな「老中黄」の瑠璃瓦…。こうして、世界中のアーティストやアルチザンの匠の技を結集させた理想郷「ホテル川久」が完成しました。
1993年には、優れた建築作品と設計者に贈られる“村野藤吾賞”を受賞。館内外には、オーナーが集めた通常では美術館に展示されるような世界各国の作品の数々が、いたるところにちりばめられており、ここでは建築と融合する形で存在しています。
ホテルの貯蔵品 館内には創業当時よりインテリアから骨董、絵画まで世界各国で買い付けをしたアートの数々が眠っておりました。数百点に及ぶ作品を今回ミュージアムのオープンに伴い一挙公開いたします。
バリー・フラナガン氏によるうさぎのブロンズ像。煉瓦の壁面に見られる陶製の巣箱は 陶芸家、加藤元男氏の作品。
館内では、中国清代前期の七宝焼きや陶器、ダリ、シャガール、横山大観など、名だたる名画家の作品を一挙展示、公開いたします。
常設には、大理石やブロンズを使った大きな抽象彫刻で知られる20世紀のイギリスを代表する芸術家・彫刻家ヘンリームーア(1898- 1986)の作品が。 ヘンリームーアの作品の1大テーマである「母と子」はアフリカン・アートの思いやりや慈悲と、キリスト教のイメージとを融合させることにより、彼独自のスタイルを形成していきました。そんな巨大な抽象彫刻でも数多く見られる「母と子」を26点公開いたします。