アジアの女性アーティストに焦点を絞った日本初の大規模な展覧会を開催します。アジア地域に生まれ、活動し、また海外に拠点を移す人も含めて、1980年代から現在までの作品を一堂に会し、女性たちの身体や社会、歴史など多方面にわたる関心の有りようや、表現の多様性、時代的な変化を概観するものです。
今日、アジアの女性アーティストは国際展にもしばしば参加するようになり、生涯、アーティストとして活動を続ける女性も増えて来ました。しかし、このような状況は中国を筆頭とするアジア諸国の経済成長を背景にして、国際社会の関心がアジアに向くようになり、またジェンダー意識が社会全般に高まった近年のことであり、長い間、特に日本では、アジア美術や、さらにアジアの女性アーティストに対して、関心が注がれることはきわめて稀れでした。 そこで本展では、「アジア」「女性」という立場で制作してきたアーティストたちの軌跡をたどるとともに、アジアの女性アーティストが、むしろその二重のマイノリティ性、あるいは各地域によって異なる様々な社会的制約を逆手にとって、しなやかに制作をしてきた作品をできうる限りバラエティ豊かにご紹介いたします。 そこではマイノリティの声の集積ではなく、「アジア」「女性」「アート」が掛け合わされたところで生まれる、新鮮な魅力と熱気に満ちた創造性に出会うことができるでしょう。
西はパキスタンから、インド、バングラデシュ、中国、フィリピン、シンガポール、台湾、韓国など、日本を含めた16か国・地域の48人による、約110件の作品を5章に分けてご紹介いたします。