特別展　仏像のみかた

金沢文庫には、隣接する金沢北条氏の菩提寺である称名寺やその子院に伝来した、数多くの仏像が保管されています。本展では、神奈川県立金沢文庫が８０周年を迎えるにあたり、これら保管している仏像の名品を一堂に会し、関連する工芸品や古書・古文書等を展示いたします。展示に当たっては、近年盛り上がりを見せる仏像ブームなども考慮して、個々の仏像の造像背景や伝来、製作技法や見所などについて、わかりやすい説明文にてご案内します。この機会に金沢文庫のバラエティーに富んだ仏像について、じっくりご鑑賞いただき、日本彫刻史の一端を皆様に知っていただければ幸いです。また特別展期間中に合わせて、横須賀・大善寺の伝毘沙門天立像も特別公開いたします。同像は近年の研究で、奥州・平泉の中尊寺金色堂に安置される仏像と、近しい様式関係にあることが判明しました。『吾妻鏡』などによれば源頼朝は当初、奥州藤原氏による平泉の仏教文化を移入して、鎌倉に諸寺院を建立したことが知られています。大善寺像は、鎌倉地方で初めて発見された中尊寺金色堂様式の仏像で、今後、鎌倉の歴史や仏教文化を考えるうえで、重要な作例に位置づけられるものです。