日本を代表する児童文学者で、さいたま市浦和区出身の石井桃子さんは、平成20年4月2日、くしくも「国際子どもの本の日」に逝去されました。享年101歳。石井さんの数多い業績の中でも、特筆すべき点の一つは、戦前から海外の児童文学作品を原作に忠実な翻訳で紹介し続け、その普及につとめたことです。その膨大な作品群には、「クマのプーさん」「ピーターラビットのおはなし」「ちいさなうさこちゃん」「ちいさいおうち」など、誰もが読んだ作品が数多くあります。この児童文学翻訳への持続的貢献に対し、今年の1月には朝日賞が贈られました。
この展示会では、石井さんが生涯を通じて精力を注いだ海外児童文学の翻訳・出版活動の中でも、石井さんが深い愛着を抱いたイギリスの絵本作家ビアトリクス・ポターのピーターラビットの絵本シリーズを中心に紹介します。石井さんの文学活動の足跡を語る遺品や自筆資料、石井さんが翻訳を手がけた海外の児童文学作品、大東文化大学ビアトリクス・ポター資料館が所蔵するポターの自筆書簡や「The Tale of Peter Rabbit」の初版本など、初公開資料を含む多数の貴重な資料を展示します。