今回は、灘波宮跡出土の 「戊申年」 紀年銘木簡を中心に考古学と実年代に関する研究の現在の到達点をご紹介する 「考古学と実年代-考古学が歴史を変える-」 と、古墳時代の始まりを考える際の基準資料となる土器を一堂に集めた 「最古の土師器-庄内式土器の誕生-」 の2つの展示をおこないます。“ここまで到達した考古学の成果” をお楽しみください。
【1.考古学と実年代-考古学が歴史を変える-】
(財)大阪府文化財センターがおこないました大阪府警察本部棟の新築に伴う灘波宮跡・大阪城跡の調査で、日本最古となる紀年銘木簡や、大阪冬の陣の直後に埋め戻されたと考えられる堀が検出されました。その出土資料を中心に、年代を推定できる考古遺物と重要な関連遺物を展示することにより、現段階における考古学と実年代に関する研究の到達点と問題、出土遺物にいかにして年代が与えられるのかといった点をご紹介します。
さらに最新情報として、当センターが去る2月21日に灘波宮跡でおこないました現地説明会でご紹介した絵馬なども展示いたします。
【2.最古の土師器-庄内式土器の誕生-】
庄内式土器は豊中市の庄内という地名から名づけられた古墳時代初頭の土器です。八尾市の久宝寺遺跡からは庄内式土器のなかでも古い段階の土器がまとまって出土し、この時期のものとしては質的にも量的にも突出した内容を持っています。この資料を中心に、弥生時代後期の土器から古墳時代の土師器への移り変わりと庄内式土器の初期の様子について、調査研究の成果をご紹介します。