《蛇のブレスレットと指輪》 《蛇のブレスレットと指輪》1899年 金、エナメル、オパール、ダイヤモンド
19世紀末のパリを席巻したポスター、祖国チェコへの想いを表現した油彩画、アルフォンス・ミュシャの創作活動の多彩さは画面上だけにとどまりません。
本作はミュシャがデザインし、宝飾家ジョルジュ・フーケが手掛けたジュエリーです。オパールで表現された蛇の鱗は、虹色にきらめき、神秘的です。ジュエリーはブレスレットと指輪がつながり、腕と指それぞれに大小2匹の蛇が向かい合うようにデザインされています。
しなやかな蛇の胴体を表す曲線、大きな蛇の周りには羽根や水しぶきのように見える装飾、自然の中の造形からデザインされるミュシャの装飾美は、ジュエリーでも発揮されています。
担当者からのコメント
実はこのジュエリーはミュシャが描いたポスターが元になっています。
当時のフランスを代表する舞台女優サラ・ベルナール主演の演劇『メディア』のポスターミュシャが描いたのが、狂乱状態の王女メディアの腕に巻き付く黒い蛇のブレスレット。ポスターを見たサラが舞台でも身に着けたいといことから、制作されました。ミュシャ、フーケ、サラ19世紀末を代表する3人の芸術家が結集した作品です。
当館の主要コレクションとして、現在開催中の企画展「ミュシャ館の舞台裏」(12/7~4/9)でもご紹介しています。
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