丑紅の景物 臥牛の人形 作者不詳、江戸時代末期
丑紅とは、寒中の丑の日に販売した化粧用の紅(紅花の花びらから作られる化粧料)の俗称です。寒中に作られた紅は「寒紅」と呼ばれ、品質・発色の上で優れていました。丑の日には、紅屋は「うしべに(丑紅)」と書いた張り紙を店頭に出し、紅の購入者に臥牛の人形を景品として配りました。この収蔵品は今戸焼の土人形で、大形・中形・小形の三種、素焼きのものと着色したものとの二種があり、紅の購入量に応じて異なる人形を配布したそうです。
担当者からのコメント
当館は、江戸時代後期から続く紅屋「伊勢半本店」が運営しています。現在も、丑紅のキャンペーンを毎年実施中。12・1月にミュージアムショップで小町紅をお買い求めのお客様に、収蔵品を模した牛の置物をお渡ししています。丑紅以外にも、江戸時代の紅屋は様々な販売戦略を講じていました。臥牛の人形とあわせ、その取組みをぜひ常設展でご覧ください。